ほんとうの調達・購買・資材理論(牧野直哉)

3.実務担当者に必要な知識/スキルアップ実践

今回から、現在進行形の調達購買部門で必要となる知識やスキルはどんな内容か、についてお伝えします。内容とともに、必要な知識や情報をどのように身につけ、入手するのかについてもあわせてお届けします。

3-1 数字を読み解く力

バイヤーは、多くの「数字」を扱いながら仕事を進めます。業務を進める上で必要な数字、そして理解し活用するための知識をお伝えします。

☆発表元データへのアクセス

今号でも「指標はこれを見ろ!」を掲載しています。「指標はこれをみろ!」を実務で活用する場合に必要となる方法を、最近発表された指標を例にお伝えします。

例)ISM Report on Busienss

(1)ISMからの最新発表
製造業版  http://www.ism.ws/ISMReport/MfgROB.cfm?navItemNumber=12942

非製造業版 http://www.ism.ws/ISMReport/NonMfgROB.cfm?navItemNumber=12943

(2)日本での報道
【製造業】
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N6K3YD6JTSEE01.html

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0ED1JM20140602

http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/hata/pdf/h_1406a.pdf

http://www.nli-research.co.jp/report/flash/2014/flash14_042.html

【非製造業】
http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304210404579604302948719872

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N6NDRO6K50YE01.html

今回のISM Indexは、2回訂正発表を行っています(かなりユニークなケースです)。そして、日本での報道では、株価への連動が書かれています。ISM Indexを日本で検索すると、

① 株価推移への連動
② 為替変動への連動

の2点で語られます。したがって、日本の(というより日本語の報道)を見る限り、ISM Indexが、なぜ調達購買部門で重要なのかは、わかりづらいのです。もちろん、海外から外貨でなんらかの調達を行っている場合は、為替変動への影響は重要です。今、ISM Indexを最も注目している日本企業は、FX(外国為替証拠金取引)の取引業者のサイトです。調達購買部門に勤務するバイヤーの視点ではありません。増刊116号でお伝えした「COMMODITIES REPORTED UP/DOWN IN PRICE and IN SHORT SUPPLY」など、日本では全く報道されません。したがって、調達購買部門に勤務するわれわれが的確にISM Indexを活用するためには、発表元データにアクセスしなければ、的確な情報入手もできないし、その重要性も理解できないのです。

☆発表元データ活用に必要なスキル~データ入手方法

今回「指標はこれをみろ!」で扱った「企業物価指数」は、サマリーされた発表ファイルでは、大きく

1)国内企業物価
2)輸出物価
3)輸入物価

のデータが過去1年間の数値とともに、グラフも明記されています。発表前月の詳細データはサマリーに

1)国内企業物価:23種別+総平均
2)輸出物価:7種別+総平均
3)輸入物価:10種別+総平均

が明記されています。しかし、これらの数値を構成する調査価格は、

1)国内企業物価:5977
2)輸出物価:1277
3)輸入物価:1538

の各種類数におよびます。この数千種類のデータは、毎月発表されるA4 8ページのサマリーには掲載されていません。したがって、より自分が購入を担当している価格のトレンドを理解するためには、この詳細部分へのアクセスが不可欠です。3種類の大きな企業物価指数では、数千種類におよぶ個別の品目トレンドが薄められてしまっているのです。

幸いにも、発表元の日本銀行のホームページ「時系列統計データ検索サイト」では、詳細のデータを「グラフ」と「実際の数値」で入手可能です。

<クリックすると、別画面で表示されます>

このページから上図に示された「物価」をクリックします。すると次の画面が表示されます。この画面は、

●国内企業物価指数 総平均(前年比)
●企業向サービス価格指数 総平均(除く国際運輸)(前年比)

2つのデータがデフォルトで表示されます。

<クリックすると、別画面で表示されます>

いずれも「総平均データ」ですから、詳細なデータを見るために操作が必要です。2つの吹き出しがありますが、上部の「系列追加をクリック」は、まさに自分が欲しいデータを選択するためにおこないます。下部の「入手したいデータの開始年度」は、後のプロセスでも変更できます。

すると、次の画面が登場します。

<クリックすると、別画面で表示されます>

この画面では、まず①に示された部分から「企業物価指数 2010年基準 国内企業物価指数」を選択します。クリックして色が変わったら選択できた印です。そして②の検索をクリックします。すると、次の画面が表れます。

<クリックすると、別画面で表示されます>

上記の赤四角の部分から、自分の知りたいデータを選びます。複数のデータを選択する場合は、「Shift」もしくは「Ctrl」キーを押しながらクリックします。一度に18種類のデータを抽出して、グラフ化が可能です。

次の例では、4種類のデータで、2010年基準で、2000年以降のデータをグラフ化しました。例えば、自分が担当する製品群の数値と、このデータを対比させたい場合は、データ表示をクリックします。

<クリックすると、別画面で表示されます>

ここで、「ダウンロードファイルのヘッダー形式」と「ダウンロードファイル形式」が選択できます。それぞれのデフォルトは「簡易ヘッダー」と「カンマ」ですので、そのままで「ダウンロード」をクリックします。

<クリックすると、別画面で表示されます>

すると、このような画面が表示され、それぞれのデータの数値が入手できます。ダウンロードしたデータはcsv形式(Comma-Separated Values、カンマ区切り)で、表計算ソフトのエクセルで開くと、次の通りに表示されます。

<クリックすると、別画面で表示されます>

この状態であれば、自分の担当分野の価格推移と比較して、トレンドを検証できます。このようなプロセスで、詳細データを入手していただくと、全体平均としての企業物価指数と、詳細データの中には、そのトレンドが大きく異なっているケースもあるとお気づきいただけます。

このようなプロセスで、企業物価指数を構成する詳細データが入手できます。読者の皆様それぞれにさまざまな感じ方があるでしょう。私はこのホームページは、データを加工できる形で入手しやすいホームページだと思っています。

次回は、入手したデータを、加工できる形に変換するテクニックについてお伝えします。

<つづく>

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