ほんとうの調達・購買・資材理論(番外編)「調達活動のKPI」について
KPIとは「けーぴーあい」と呼びます。「key performance indicator」の略です。日本語でいうと、重要業績評価指標ですよね。これまで調達・購買部門がどのような活動で全社的に評価されるのか、されるべきか調べてきました。それが調達・購買部門、あるいは調達・購買部員のKPIです。
これまでわかった調達・購買機能の評価基準(KPI)は次の通りです。つまり、他の会社は、こういう尺度で調達・購買を評価しているのだと思って見てみてください。
・一般的な調達・購買部門活動のKPI
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ここで説明が必要なのは「効率性」のところでしょう。ここでは「購入金額」や「サプライヤ数」によって調達・購買機能の効率性を見るものとしています。これに加えるとすれば、全従業員数のうち、調達・購買部員数が何%かを見るものです。ご参考までに申し上げておきます。2011年に私たちがJMA(一般社団法人日本能率協会)と実施した調査では、全産業でいうと、全社員数の1.23%でした。
製造業の場合はもっと比率が高くなりますので、意図的にそう説明するケースもありますが、全産業では1.23%と覚えておいてください。
なお、各企業の調達・購買部門はどのていどの費用と時間をかけて専門教育を部員に施しているのでしょうか。 同調査では、部員一人あたりにかける年間費用と年間時間として、「3万円未満」「10~50時間」と回答した企業がもっとも多く見られました。詳細内容の調査はできなかったものの、平均費用は43千円で平均時間は23時間でした。勝手な推測でいうと、部員は年に一回くらい外部セミナーを受講しているレベルでしょうか。
これと比較するのが適切かは負いておいて、たとえばCAPSが2010年に発表した米国系企業の2009年実績によると「部員一人あたりの専門教育費用」は全業種平均で年間745ドル(約7万円)であり、「部員一人あたりの専門教育時間」は年間12.6時間でした。繰り返し、単純に比較して良いかは別ですけれど、肌感覚としても米国企業のほうが教育熱心とはいえます。
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上記では、調達・購買機能のレベルを把握するための他部門アンケートの例です。これらは定性的な評価指標が大半ですね。ここでは調達・購買機能の<付加価値>が問われています。ところで、私はさほど定性的な評価項目を完全否定したくはありません。というのも、「あ、この調達・購買担当者がいてくれて助かるな」という根源的なところは、どうしても超・定量的だからです。
・一般的なコスト活動のKPI
また一般的なコスト活動のKPIは次のようなものです。
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上記には、文字通りコスト活動をどう評価してもらえるかを書いています。大きくわけますと、
・コスト削減額(Cost reduction)
・コストアップ回避額(Cost avoidance)
・新規開発品目標達成度
としています。調べてみると、単純に「コスト削減」といいましても、これほどの計算式があります。
これらを組み合わせたり、あるいは不要なものを削除したりして全国の調達・購買組織はKPIを作っているのですね。今回は、他社の調達・購買関連評価指標の共有でした。
(おわり)