連載「調達・購買戦略入門」(坂口孝則)

今回は長文になっておりますので、ご印刷などなさってご覧いただくことをオススメします。

*前回と前半部分は重複しております。今回からお読みになっている方へのものです(後半のみお読みになってもわからないため。ですので、前回をお読みになった方は、<今回ここから>というところまで、飛ばしてくださいませ

・中長期部門方針設定

ここでは中長期の部門方針設定について話します。いよいよ戦略立案の話です。ここで、調達戦略を根元から考えてみたいと思います。

調達戦略を考えるにあたって、極論を想定してみたいと思います。ライバル他社とまったく同じ製品を生産していたとして、調達だけで差をつけられるでしょうか。生産している品目がまったく同じで、客層も同じだったとします。あなたはどのように調達だけで差別化できますか。

差はコストだけではありません。品質もあるでしょう。あるいは素早く製品を届けるリードタイムの短さもあるでしょう。あるいは緊急事態でもサプライヤから協力を得られる等々、サプライヤマネジメントの優劣もあるでしょう。あるいは開発購買の観点から、技術的な関与も考えられます。また、生産の安定もあるでしょう。

こう考えると、自社の持つリソースを有効活用しなければならず、そして有効活用するためには現実をしっかりと見つめなければいけません。リソースの優れたところ、劣ったところを正しく認識し、他社と差別化しなければ、調達戦略にはなりえません。もっとも重要なのは、そのうえで、何を改善すべきか適切に設定することです。これは哲学的な議論ではありません。実務の話です。ただ調達戦略においては、漠然とした議論か、カタカナばかりの無意味な議論が横行しているので、まずは現実を見る大切さを強調したかったのです。

私が考えるに、ほとんどの調達担当者や調達管理者が感じているにもかかわらず、これまで語られていなかった問題点は次の通りです。

調達戦略書が、報告のための報告になっていて、ほとんど実務的には使われていないのです。そして報告を受ける側もほとんど進捗管理をしません。また、奇妙なことに期末の報告時、「戦略がうまくいきませんでした」と聞いた経験がありません。ならば、世の中に溢れる調達戦略はすべてうまくいったはずなのです。しかしながら調達戦略のセミナーを開催すると多くのひとが集まります。表面上はうまくいったと報告しているだけではないでしょうか。現場追認が数字のごまかしが大半なのです。

そして、与えられた目標は高すぎ、自発的な目標が低すぎる問題があります。よく、戦略は与えられた目標に対してその解決策と道筋だといわれます。しかし、だとすれば上位者は常に調達部門にたいして、「コスト削減。目標値は前年の半額」と目標を立てれば良いのではないでしょうか。もちろん、目標とは意気込みだという人もいるでしょう。しかし、その意気込み目標値と、実際の目標値はどのように設定するのでしょうか。ある人から言わせると、それは「実行可能なレベルをまず想定して実際の目標値を設定するのだ」といいます。しかし、それは論理的におかしい話です。なぜならば実行可能な目標を想定しているときに、戦略を想定しているからです。「これこれ、こうやったら、この値までは到達するだろう」と、目標から戦略を作るのではなく、逆の動きになっているのです。

また、残念ながら、他社のベストプラクティス(成功事例)はほとんど応用できません。なぜならばあなたの会社の資本規模や、あるいはサプライヤの種類、そして時期が違うからです。よくベストプラクティスをありがたく聞き入るひとがいますが、そのほとんどが役に立ちません。こう正直に指摘している本を私は見たことがありません。

私はここで、かなり奇妙な論理展開をしたいと思います。まず、これまでいろいろと説明してきた分析について、分析のための分析ではなく「見たくない現実をありのままに見るためのツール」として扱います。「見たくない現実」を見れば見るほど、これから説明する戦略構築に役に立つからです。

これまで、既存の調達戦略を説明するものはあっても、調達戦略の具体的な構築方法をお伝えする書籍はありませんでした。そこで、具体的な調達戦略を立てるやり方について触れたいと思います。そのときに活きるのが「見たくない現実」です。これまでやってきた分析=準備が9割位といっても過言ではありません。

・調達戦略構築手法

さっそく、具体的な調達戦略構築の方法について触れていきたいと思います。そこで私が紹介する調達戦略構築法とこれまでの方法の比較をまずご説明します。

これまでになかった成果を得るためには、調達のやり方を変える必要があるのです。借り物の戦略では役に立たないのです。前述のとおり、従来の方法には問題があります。問題点は繰り返しませんが、ここではあえて目標はとりあえず立てるとしています。目標は可変的なのです。しかも思考を巡らせているうちに、新しい目標が出てくる場合もあります。

順番は、
①目標はとりあえず立てる
②現状の悲惨さを味わう
③最悪から戦略を考える
④解決策を創発させる
となります。おって説明します。

私たちには危機感が必要なのです。そのためには現場を指定しそして最悪のシナリオを考える必要があります。だから、もしこれまでであれば書くのが憚れるような幼稚な気づきでもかまいませんし、幼稚な問題でもかまいませんので、すべてを出し切ってください。それが問題であれば恥じないで現実を見つめましょう。途中で、最悪シナリオの記述は苦しいものの、「うわー苦しい思いをするのも仕事だ」と楽しんでください。

そこで、こう想定しておきます。あなたの机の上には、これまでやってきた「見たくない現実を見る」ための分析資料がすでに乗っている、と。そしてあなたは不都合な事実をじっくりと味わったあとだ、とします。データをもとに、あなたの頭に考えてもらうことが大切です。

<①目標はとりあえず立てる>

では新メソッドの<①目標はとりあえず立てる>から見ていきましょう。どう目標設定すればいいのかを考えてください。

このメソッドではカードを活用します。このカードは上のようなものです。コピーして使ってもらってもかまいませんが、簡単なので自作なさってみてください。上に4つのチェックボックスがありますので、それぞれの目的に応じて印をつけてください。この時点では目標ですから左上の資格にチェックを与えてください。

このメソッドでは、目標は「とりあえず」立てるのですから、できるだけたくさん書き出すことが重要です。私の中での目安は1年から3年先までの目標です。これではあまりに短期間じゃないかと批判もあり得るでしょう。しかし実際、担当品種や役職も3年くらいが最大期間ではないでしょうか。リアリティーを感じるためには、やはり責任範囲におけるこの1~3年ていどが妥当だと考えます。

白紙カードはいちど作ってしまえばコピーできますから、この目標カードは30あるいは100でも書けるはずです。最低でも10の目標(10枚のカード)を記載してください。ここはある意味、夢といってもいいですし意気込みといってもかまわないものです。

目標は「コスト削減5%/年を達成する」でも「サプライヤの納期遅延をなくす」でも「社内の設計者から信頼されるようになる」でもなんでもかまいません。ただ、「世界一の購買部を作る」というのはやや抽象的です(もちろんこれでも最初はかまわないのですが)。どのように世界一なのかを具体的に書いてください。

なおこの際に、文章の形で記載してください。「コスト削減5%/年」でも「サプライヤ納期遅延防止」でも「設計者からの信頼醸成」などではなく、上記の表現にしたのはそのためです。意外にこれには深い意味があり、一つひとつのカードが語っているようにするためです。そうすると、これ以降のプロセスが容易になります。

<②現状の悲惨さを味わう>

そして次、②現状の悲惨さを味わう、です。同じくカードを使います。カードは右上のチェックボックスに印を入れてください。分析したデータを見ながら、とても不安なことや、問題と認識していること、あるいは気になっていることを、どんどん書き出してください。

重要なのは包み隠さず書くことです。どんな幼稚なことでも、あなたが問題と認識しているならば解決しなければなりません。なぜならばビジネスにおいては、解決して学びを得ないかぎり、ずっと同じ問題がその人に降りかかるからです。私は特定の宗教を信じていませんが、やや宗教的な言い方をお許しいただけるなら、神が試練を与え続けているのです。したがって、いつも同じトラブルに巻き込まれる人は、そこからまだ学びを得ていないためです。

これもカードにたくさん書いてください。おなじく、最低でも10個は書くことをお勧めします。あくまで現状の分析ですから、論評を始めないでください。例えば「組織が官僚的だ」とはあまりにも論評的です。それならばまだ、「自分の提案が上司になかなか通らずイヤだ」といった表現にしてください。

この②現状の悲惨さを味わう、はまだ続きがあります。次に、A3の白紙を用意してください。可能だったらもっと大きな紙が良いでしょう。そして、②現状の悲惨さを味わうで書いたカードをランダムに並べてください。

カード群をじっくり見れば、何かのカード(不安や問題)と、他のカード(不安や問題)を導いている、共通の原因があるはずです。

なおこの図に書いている○(マル)はあくまでも概念的なもので、実際にA3の紙に書くものではありません。そしてその原因を新たなカードに書いてみてください。同じくこのカードには右上のチェックボックスに印を入れてください。そうすると、表面的な不安や問題に対して、一つ深い原因が出揃ったはずです。どうしてもグルーピングできないものは残しておいていただいても構いません。

さて次にその原因と思われるもの同士を見てください。そうすると、ある原因カードと他の原因カードが、もっと深い原因によって導かれていることがわからないでしょうか。そこで、また新たにカードを作って、さらに深い原因を書いてみてください。

グルーピングできなかったカードも、同じ原因に依るものではないか考えてみてください。そしてそれを繰り返すと最後に1つあるいは2つのカードに集約されるはずです。これがあなたの問題や不安の根本的な原因となります。

この時点になりましたら、カードを固定する意味でも、おのおののカードを糊でその紙に貼り付けてもらって構いません。ただこの時点ではまだ解決策など考えないでください。あくまでも、この原因を見つめることが重要です。ここでは「わかっちゃいたけど……。アイタタタタタタ」っという姿を見える化するのです。

この、②現状の悲惨さを味わう、はこれで終わりです。ただしこの方法は重複するので覚えておいてください。つまり、まずカードに書き出し、それをグルーピングし、さらに深い概念にもっていく方法です。この方法によって、コンサルタントの考えたものではない、リアルな、ありのままの実情が浮かび上がってくるはずです。

<③最悪から戦略を考える>

次は、③最悪から戦略を考える、です。カードの左下にチェックを与えてください。ここでは。さきほど作った<②現状の悲惨さを味わう>のA3用紙を見ながら、「この事態を放置していると、次にどんなひどいことが起きるか」を予想するのです。ここではあえて、最悪のシナリオを考えます。危機感を自分の中で醸成するためです。たとえば、<②現状の悲惨さを味わう>で出た根本的な原因が、「調達部門が、設計部門の言いなりになっている」とします。実際はもっと深い原因が出てくるでしょうが、わかりやすくこのようにしておいてください。

そうするとどんな最悪シナリオが考えられるでしょうか。「仕事にやる気がなくなる」あるいは「調達部門を希望する社員がいなくなる」あるいは「コスト削減に支障が出る」あるいは「サプライヤマネジメントができない」……。さまざまな最悪シナリオが考えられるはずです。ここでも、おなじく、たくさんのカードを記載してみてください。最低でも10個ぐらいは書きたいところです。

この手法は、<②現状の悲惨さを味わう>と基本的には同じです。この「最悪シナリオ」カードと、違う「最悪シナリオ」カードのうち、同様の結果を導きそうなものを近寄せるのです。

これを繰り返していくと、「史上最悪な、かつ『ありうる』事態」が目の前に現れます。

どうでしょうか。あなたの手元には<②現状の悲惨さを味わう>で作った現場の根本原因と、それを放置したときの最悪の最悪の最悪の事態が目の前に広がっているはずです。「このままではいけない」。そのような絶望的な感情にも似た、危機感が出ていないでしょうか。

そして、<④解決策を創発させる>に移ります。しかし何よりも、この③までの絶望と向き合うことが何より大切です。キーフレーズは何よりも「絶望からはじめよう」なのですから。

<今回ここから>

ところで、ビジネス書オタクには怒られてしまうかもしれませんが、私は調達戦略を考えるにあたって、次のような方針を採用したいと思います。

(1)何が戦略で、何が戦術か、というのは考えるだけ無意味なので、自分で決めましょう。これまで神学論争(神はいるのかいないのかという論争)が続いてきました。「それは戦略ではない。それは戦術である」といったような議論です。もちろん経営学者や衒学的オタク議論が好きな人はそれで良いでしょう。ただし私たちは実務家です。結局、何かをやらないと変化をもたらせないのです。したがって、何かの施策に、それが戦略なのか戦術なのかと問う議論は暇人に任せれば良い話です。

(2)「あれか、これか」という思考法はやめてください。優先順位をつけるのは重要です。ただし、「これをやるから、これはできない」といった決めつけの前に、ちょっと考えてほしいのです。大抵は、本気になってやればすぐ終ります。何か一つをやる代わりに、何か一つをあきらめる必要があるでしょうか。ぜひ可能な限り、同時進行で進めてください。

(3)完璧な戦略を求めないことです。「これをやったらすべてがうまくいく」といった類の発言をする人がいますが、ほとんど嘘です。この世の中は複雑系です。何か一つやって、すぐ解決するほど簡単ではありません。他の場所でうまくいっても、あなたの場所ではうまくいかない場合が多いはずです。だから、答えは一つではありません。いちど決めた戦略とも間違ってる可能性はあります。時代の変遷によって変わります。だから戦略は常に、作った瞬間から古新聞になると思ってください。戦略は、作って終わりではありません。継続的に見直し、より実行力を伴い、そして実効性のある戦略になるのです。

さて次ですやっと明るいワークに入ります。ここではステップ<①目標はとりあえず立てる>で作った、目標のカードを用います。書いた目標のカードを、おなじくA3用紙に並べてください。

以前のワークとはまったく逆に、その目標が達成できたら、どういうもっといいことができるでしょうか。それを考えるのです。ここのカードは、また新しく作りますが、左上の「目標」にチェックしておいてください。例えば「工程の内容を完璧に把握している」という目標があったとします。そしてもう一つの目標として、「設計者から、調達品についての相談を毎回かならず受ける」という目標があったとしましょう。その二つが実現することができれば、さらに、何ができるでしょうか。「設計者の企画会議に呼ばれる」かもしれません。「サプライヤから信頼を集める」かもしれません。どんどん発展するはずです。

これ以降のやり方は同じです。できたことがさらにできることを呼び、さらにできるようになったことが、もっとできるようになることを呼ぶのです。そうすると同じく最後に1~2枚のカードが残るはずです。

おわかりかもしれません。<最悪から戦略を考える>と、ここでやったことは、どちらともありうる未来なのです。片方は最悪の、そして片方は最高の。どちらもあなたが選択することができるのです。

通常「目標書きなさい」といわれると、なかなか自分の思考から離れることができません。もちろん、このやり方でも、究極的にはあなたの頭脳の能力から離れられません。それでも、目標と目標を組み合わせることによって、より多くの将来像を創発できるのです。

ここで、あなたの手元には、三つのA3用紙があることになります。一つは現状を原因分析したもの。もう一つは最悪シナリオ。そしてもう一つは最高の将来です。この三つが出来上がったら、まずはじっくりと眺めてください。先ほど説明した通り、まず現実があって、あなたは進むべき二つの道があるのです。

じっくり眺めていくと、もう自然にアイディアがたくさん出てきているはずです。後は脳に任せる段階です。どうやったら最悪ではなく最高の道筋をつけることができるか。

<④解決策を創発させる>

ここから、再びカードを使って考えてきましょう。チェックボックスの右下に印をつけてください。同じく何十枚もカードを用意してそこに解決策を書いていくのです。

この解決策を書くときに注意したいのは、とりあえずたくさん出すことであり、できるかどうかはまず考えないでください。逆に、すべきことであれば、それを実行に移すためには何をすればいいか派生的に考えればいいのです。

ここで一つのワークをしてみましょう。ノートや白紙を使って●を10個書いてください。そしてそこに、あなたや部門ができていないことを列挙していくのです。 ●が足りないかもしれません。その場合は●を、20個でも30個でも増やしてください。たとえば「調達部門がイニシアチブをとって全社を先導できていない」。あるいは「調達部員は技術的なことがわからない」。「社内地位を高めることができない」。「スムーズな意思決定ができない」……。

それらを書いた後に、それぞれの文章の後に付け加えてほしいのです。「と、自分は思い込んでいる」。

世の中がすべてひっくり返ってもできない事はほとんどありません。かつて、セミナーで「1年間で1億円を貯めることができるか」と聞いた講師がいました。ほとんどの人が「それはなかなか難しい」と答えるとそのセミナー講師はこう、問いました。
「もし1年間で1億円を貯めることができなかったら、あなたの家族が全員死ぬのをしたらどうだろうか」。

その時のセミナー会場がどよめいたのは忘れることができません。きっといかなる努力を払ってでも1億円を貯めると思うのです。真剣になればきっと解決策は導かれます。

カードをたくさん書いたら、まったく意味のなさそうなものはとりあえず除外しましょう。そして次に三3つに分類することが有効でしょう。

(1)自分のみあるいは自部門のみで実行することができるもの。これは即実行です。
(2)他部門やあるいはサプライヤの協力が必要なもの。これはやや時間がかかる可能性があります。したがってどのように協力を仰ぐかを含めて派生問題も解決策を出していきましょう。
(3)予算がかかったり、あるいは役員クラスの承認が必要だったりするものです。これに関しては費用対効果あるいは時間対効果を考え中長期的な施策として採用するか決定します。

そこからさらにカードを作り実行計画を考えています。その施策をやるためには、一体どのような細分化が必要か考えていきましょう。例えば「見積もり査定の強化」だとすれば、まず「対象品目を選定する」(これらは別のカードに書き込んでいきます)。そして「工程を学習しり」そして「標準サイクルタイム試算のための現地測定を行う」それを「標準原価計算に落とし込み、コストテーブルを作る」また、「社内と討議を行う」、そして「発行する」、「部員全員での勉強会を実施する」等のスケジュールを決めていくのです。

その担当は誰がするのか。そしてどのように行うか。登場人物もそのカードに記載しています。ここで再びA3用紙に登場してもらいましょう。大体でいいので、左から右に向かってカレンダーを書いています。「2018年1月、2月、3月、4月、5月、6月…」というように。

そして各カードを配置していきましょう。こうすれば立派なスケジュールチャートが出来上がります。戦略の施策立案からスケジュール策定までできました。

可能であれば、品種戦略などは、部内で発表会を実施しましょう。その時に、さすがにA3の紙をそのまま使うことが難しいでしょうから、電子ファイルに落とし込みます。先ほど作ったスケジュールチャートを使ってWBSに帰ってきます。難しく考えないでください。WBSとは、決定事項をさまざまなプロセスにわけて、担当者や期日を振るものです。

具体的に行動しようとすれば、何をすべきか、いつまでにすべきかを考えていきます。

http://www.future-procurement.com/WBS.xls

戦略の全体像を示すために調達戦略書を書くのもいいかもしれません。

そして最後に最も重要なことを申し上げておきたいと思います。あなたが作った戦略は美しいでしょうか。美的な戦略になっているでしょうか。くだらないと思うかもしれません。そして私のようなデータ主義者、そしてロジックばかりを追い求めている人間にとって美的とは違和感を抱かれるかもしれません。

しかし最終的には、この美的センスからチェックしてほしいのです。あなたの会社は何をやっている会社でしょうか。そしてあなたの会社はどんな理念を持ってるでしょうか。そしてその理念からどのような調達戦略が導かれるべきでしょうか。醜い戦略はとっても恥ずかしい、と私は思います。例えば「サプライヤはでどうでもいい。相見積書をひたすら実施し、安かったらそこに決める」という戦略があったらどうでしょうか。それを美しいと思う人もいるでしょう。もしも美しいと思うなら、それは否定しません。

ただ、私は美しいと思いません。もっと上品な戦略を作りたいと思います。ちゃんと原価を確認して、さらに財務状況を確認して、そして人間関係を強固にし、適切なサプライ決めたいと思います。あるいは自社の理念に共鳴してくれるサプライヤを選びたいと思います。

結局、戦略とは、みなさんが、どのような理念から調達活動しているのか。その最終的な結実です。

<つづく>

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