ほんとうの調達・購買・資材理論「調達関係者に絶対に役立つ統計講座1回目」(坂口孝則)

統計はビジネスマンの基礎教養となりつつある。ビジネスマンの基礎教養とは、これまで「英語」「パソコン」といわれていた。それに「統計」が加わる。

いっぽうで、こんな名言(迷言?)もある。「世の中にはウソが三つある。ウソ、真っ赤なウソ、そして統計だ」と。たしかに、統計は自分の主張を補完するために恣意的にも使われる。ただ、世の中のトレンドとして、統計的な事実を重視しだしたのも事実だ。逆に統計の知識があれば、他人が統計を使ってウソをついているケースを見破れるだろう。

ここでは、調達・購買担当者として、そしてビジネスマンとして、絶対に役立つ統計の基本をお伝えしたい。「私には関係ないかも……」と思わずに聞いていただければ幸いだ。

そこで、まず統計の基本となるヒストグラム作成からはじめたい。ヒストグラムって

なんだろう。下の図のようなものだ。

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「え、何? 単なる棒グラフのことでしょ? そんなの知っているよ」というかもしれないけれど、これが奥深い。しかも、ヒストグラムから広がる知識をしっておけばかなり応用が効く。

では、まずこの柱の数を何個にすればいいか知っているだろうか。「直感で、見やすい本数でしょ」とあなたはいうかもしれない。いや、たしかにそうなんだけれど、本数を決めるやり方があるんだ。

たとえば、ある工場で生産されたネジがいくつかあって、そのネジの重量が次のように分布していたとしよう。もちろんこれは、かなりおおげさに書いているから、こんなにバラつくことはない。演習だと思ってほしい。こんなときにどうやってヒストグラムを作ればいいだろうか。

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まずは、個数を数えよう。Excelの関数では=counta()を使えばいい。

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そして次にMAX値(最大値)を求めよう。Excelの関数は=max()だ。

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くわえて、MIN値(最小値)も求める。Excelの関数は=min()となる。

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さらに次に範囲を求める。これは簡単でMAX値とMIN値の差を求めればいい。

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次に区間数だ。ここでは、Excelのセルに=log(データの個数,2)+1と入力している。

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これってなんだろう? 統計的には、スタージェス公式という。でも、そんなの覚える必要は無い! こんな暴論いっていいのだろうか。いいのである。ここでは実務面を重視するから、説明は省く(調べたいひとはネットで調べてくれ)。私たちは統計を使えればいい。

そして、次の、区間幅は、範囲をこの区間数で割ったものだ。これは、直感的にわかるよね。幅を数で割れば、区間の長さがわかる。

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ここでは、Excelが「このグラフは、区間数7.12、幅は4.06くらいにすりゃ、いいんじゃね?」といっている。乱暴だけれど、そういうことだ。そこで、四捨五入して、仮区間数7と仮区間幅は4と求める。なぜ四捨五入するかって、そりゃ、サンプルが整数だから小数点は意味がないからだよ。

それでMIN値の101からはじめて、4の幅で7つの区間を作ってみよう。

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そうすると、区間幅を四捨五入したもんだから、7番目の区間の最大値は129になってしまった。これでは最大値の130を拾えない。ということで、もう一つの区間を付け加えて、8区間となった。これで完成した。

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「え、区間は7つじゃなかったのか」って? だから、区間数7.12なんて使えないから、あとは人的作業で合致するものを探すんだ。でも、これまで何個で分けたら良いか直感だけでやってきたことに、指標を得た。これって凄いことだ。

ではここからExcel機能の「データ」→「ヒストグラム」を使ってみよう。

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「入力範囲」にはネジの重量を選択、「データ区間」にはそれぞれの区間の上限を指定する(ExcelのM列のところだ)。そうすると、別シートにヒストグラムの元ネタを作ってくれる。

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あとはお好みにあわせてデータ区間を修正しよう。サンプルではわかりやすくするために、「~」という文字を付け加えてみた。

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それでできたのがこのヒストグラムだ。

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ヒストグラムの作成ていどで……と思ったかもしれない。でも、この統計というものは、これを基本としてどんどん深いところに入っていく。覚えておいてソンしない内容だから、次回もお楽しみに。

ということで、今回使ったファイルはこれ!

http://www.future-procurement.com/z107.xlsx

(つづく)

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