中堅社員が走りながらやるべき10のポイント(牧野直哉)

マニュアルをつくる 2

マニュアルをつくる際の留意すべき点は、次の3点です。

(1) 業務全体の網羅
業務マニュアルですから、所属部門の業務全体を網羅しなければなりません。担当毎に業務範囲が異なる場合、あなた自身に経験のない業務も、マニュアルに落とし込むために「インプット→業務内容→アウトプット」の手順を洗い出します。詳細が分からない場合は、時間を作ってわかる人に確認します。(3)でも述べますが、マニュアル作成の主旨と具体的な方法を伝え、ドラフト作成を実際に担当している人にお願いするのも良い手段です。

前回から「インプット→業務内容→アウトプット」のフローを述べていますが、企業の組織内で調達購買業務をおこなう場合は、必ずこの「インプット→業務内容→アウトプット」プロセスが存在します。どの企業においても、このような「インプット→業務内容→アウトプット」で業務内容のすべてが表現できるのです。

この「インプット→業務内容→アウトプット」は、できるだけ細かいプロセスで作る事が重要です。例えば「サプライヤー選定」は、どのようなインプット→業務内容→アウトプットになるでしょうか。

●インプット
・新規顧客販売向購入用製品
・社内試作向購入用製品
*サプライヤーの撤退/受注辞退にともなう新規サプライヤー採用
・購入対象の明確化(仕様、図面、レシピ等)
・購入条件の明確化(数量、納入条件)

●業務内容
・サプライヤーの監査による発注可否判定
・購入品の価格決定
・自社希望購入条件のサプライヤーへの受け入れ及び、調整

●アウトプット
・サプライヤー選定
・注文書(発注書)

ざっと書き出しただけでも、これだけの内容を網羅しなければなりません。またこうやってあるプロセスを書き出してマニュアル化する過程で、調達購買部門内に別の前工程の存在を確認できる場合があります。インプット欄の*印の部分は、前工程が調達購買部門内に別に存在します。この場合は、別に「インプット→業務内容→アウトプット」を洗い出すのです。

(2) 改善ポイントの洗い出し
部門内の様々な業務を洗い出し、「インプット→業務内容→アウトプット」のマニュアルを作成したら、今度はそれらを集めて部門の全体業務として適切かどうかを判断します。一つ一つは個別最適状態となっています。これらを全体最適となっているかどうかを確認するのです。

(3) 最終的には全員参加
全体最適の確認や、個々のプロセスでの「インプット→業務内容→アウトプット」の作成は、作業量がとても多くなります。確認のプロセスだけでなく、個別のプロセスの作成も、部門内のメンバーに割り振って分担して行ないます。全員で使用するものですから、最後は全員での確認と、内容の合意によって最終的なマニュアルの完成となるのです。

「マニュアルの作成」では、自分が携わっている業務内容の掌握、そしてマニュアル作成を個人でおこなうのでなく、チームや部門全体でおこなって、最終的な完成へと導くリーダーシップを学ぶ場としても、とても重要な意味を持ち、かつ意義のある取り組みなのです。

<つづく>

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