連載企画「速読は儲かる」第4回(坂口孝則)
<前回からの続き>
たとえば、一つの例をあげよう。
そのはじまりは、「2013年に日本はどうなる?」という書籍を読んだことがきっかけだった。書かれている内容に賛成もしたし、反対もした。違うもう一冊を読んでみたら、まったく違うことが書いてあった。情報は同じでも、解釈によって、結論が異なるんだ。それならば、「2013年に日本はどうなる?」っていう本をまとめ読みして、それらの本の共通点を探り、自分なりに再解釈すればいいんじゃないか?
そう思って、セミナー会社に企画書を送った。
ほんとうに、それだけの話だ。
その企画は「Theリスク2013」というタイトルになり、100人ものひとが集まった。売上は何百万円単位となり、私には50万円が振り込まれた。私の費やしたコストは、20冊くらいを買ったから2万円くらい。資料をまとめる時間はかかったけれど、それにしてもリターンは大きい。
その後、セミナーに来てくれたひとが、私の個別コンサルティングを受けてくれたり、個別研修を発注してくれたりして、その倍以上の売上につながった。おそらく、これ以降も拡大していくだろう。
「20冊の本をまとめ読みして、まとめるって、それ自体が難しいでしょう?」
そうなんだ。そう思ってもらえるから、この仕事はおいしい。
<今回はここから>
いまは情報にあふれているといわれている。だから、情報自体は誰だって手に入る。でも、その情報を整理できるひとがいないんだよ。逆にいえば、スキルさえあれば、誰だって情報をまとめることができる。秘密の情報なんて、もはやないんだ。
よく、誰もが知っている情報を述べたってダメだ、というひとがいる。だけど、あれはウソだね。だって、誰もが日経新聞を毎日のように読んでいるけれど、世の中の流れを解説できない。
メディアに出ている文化人だって、いかにも「自分しか知らない情報がある」みたいに振舞っているが、そんなことないんだ。あの人たちだって知っているのは、誰もがアクセスできる情報だ。ただ、その網羅性と、まとめ力があるから、すごそうに見えるだけなんだよ。
私だってインタビューされたら「日々の情報収集が大切です」と答えるだろう。そのほうが自分をすごく見せられるからね。でも、実際はその場その場の情報即収集術こそが大事なんだ。
もちろん、あなたが足で稼いだ情報は大事ですよ。それに、経験や実務でしか得られない見識はたしかにある。でも、現在は知識量の拡大があまりに速い。経験や実務でカバーできる範囲が限られている。
私は書籍から学んだ知識を、自分の経験や実務に照らして解釈しなおしている。そうすると、経験や実務も活かせる。
私は本――、そして速読に助けられた。本のおかげで、これまで同領域で働いてきた先輩たちが成し遂げられなかった仕事もできた。
真剣な実務経験、そして本を速く読めること。
それが宝の山をあなたに引き寄せることになる。宝くじを買うよりも、よっぽど確実なチャンスをつかむことができる。それがこれから招待したい速読の効果なんだ。
私が速読の効果を喧伝すると、まず疑われる。「あのねえ、あんただからたまたま上手くいったのであって、誰もが上手くいくわけではないよ」と。
それは私のことを買いかぶりすぎているのか、と思ったら、そうではないらしい。どうも、本気で速読くらいで、あるいは本を読むくらいで上手くいかないと思っているらしい。「本を読むくらいで金を稼げるんだったら、誰だってやっている!」というわけだ。そりゃ、そう思うかもね。そういうひとは昔から、たくさんいる。いまは新しいバージョンもでてきて、「情報なんていまではいくらでもありふれている。これからはリアルが重要だから、ひとにたくさん会うべきなんだ。だから本の知識なんて必要ない」っていうのもある。
こんな感じで、そりゃもちろん、対面することも重要だよってわかったうえで、もう一度くりかえしたい。
やっぱり、読書は大事だ。それも、速読で即座に情報を集めなければソンをする。
とくにビジネスの経験を何年も積んだひとにとって、書籍はその経験を何倍にも活かすツールとなる。それこそ本田直之さんの書名どおり「レバレッジ」を効かせることになる。新入社員だったら知識は1しか持っていないかもしれない。でも、ベテランだったら10は持っている。それを拡大するのが読書なんだ。読書によって、その知識は×10倍にも、100倍にもなる。新入社員だったら、ベテランを追い越す加速剤になるし、ベテランだったらなおさらだ。
私はさきほどいったとおり調達・購買っていう分野のコンサルティングやセミナー講師をやっているけれど、いくらでも内容を拡充できる。むしろ、なぜ他人がもっとやらないか不思議だ。「これもある、あれもある」と思うことばかりだ。
本――、速読によってお金を稼げないのであれば、たしかに私はみなさんに幻想を持たせるのは悪だろう。でも、私が実際にやってお金を稼いでいるので、それは確信をもっていえる。逆に、たかが本によって多くの可能性が広がるのも事実なのだ。それを伝えないともったいない。
私はほんとうにロクでもないグズだった。しかし、私はグズにとどまりたくなかった。あなたも劣等感をいだいているなら、そのグズ状況から脱してみないだろうか。
私はほんの少しでも本を速く読めることによって、稼ぎの機会がものすごく広がることを話しておきたい(当連載は続きます)。