連載企画「速読は儲かる」第1回(坂口孝則)

私は本を理解できない。

普通に考えれば、そんなことないと思われるだろう。これまで本を23冊も書いているし、テレビやラジオの情報番組に出演しているし、雑誌などのインタビューも受けている。そのなかで、本についての情報を述べることが多い。そんな人間が「本を理解できない?」。私は年間100万円ほどの書籍代を使っている。だから、そんなはずはない、と。

しかし、それにも正直に告白すれば、いまだに本を理解できない。読書経験のほとんどが、多少わかったか、あるいはほとんどわかっていないのだ。いや、もっと正直にいえば、ほとんど理解できない本が大半だ。

たしかに私の知人や周囲のひとたちからは「ほんとうに坂口さんはいろいろ読書していてすごいね。しかも範囲が広い」といわれる。ただ、それはほんとうに、広く読んでいるだけであって、ほとんど読んだ本について理解していない。これが現実だ。

たとえば、本物の文化人を前にしてしまったら、経済理論なんてなかなか出てこない。小説評論も恥ずかしくていえない。それに、たとえばファンタジーやオタク系の知識なんてもっと出てこない。たとえば最近の仕事では、経済学者の飯田泰之さんと対談したけれど、ほとんど自分自身は経済を何も理解していないことを知り、途中から黙ってしまった。その他、ぜんぜんダメなのだ。

私の知識体系はめちゃくちゃ。あちこちの知識がごっちゃ煮になっていて、とくに「専門」もない。

「坂口さんなら、なんでも解説できるでしょう?」とテレビのスタッフから声をかけられるけど、とんでもない! ほとんど声をかけられてから必死に書籍を読んで勉強しているのだ。それに、話した後も、ほんとうに良かったのかを自問し続けている。それが現実だ。

だけど、読書が嫌いなわけではない。むしろ好きなほうかもしれない。いや、読書しか私には残されていなかったといってもいい。高校のときは勉強で時間をつぶせたけれど、大学時代とか社会人になってから、さほど外に出るのも好きではなかった私はずっと読書をしていた。いつか本を出してみたいと思ったのも、そのころだった。大学時代には、ものすごく難しい哲学書も読んでみた。あるいは数理社会学とか、ポストモダンなんたらとかね。ドゥルーズ、フーコー、デリダ、ラカン……。いや外国人著者のものだけではない、日本のものだって、吉本隆明から柄谷行人といった「古典」からはじまって、浅田彰さんや東浩紀さんやら、とにかくさまざまなものを読みあさった。大学から社会人になるとき、ひっこしで本棚をどけてみると、床が抜けそうになっていたほどだ。

それらの読書経験は非常に苦労させられた。で、その結果、わかったことは何か。

必死に頑張っても、頭いい人の書いた本はわからん。そういうことだった。それ以上うんうんと悩んでも、わからないものはわからない。

あなたはもしかすると、読書を重ねれば、わからないものがわかると思っているのかもしれない。そして、いつの間にか、専門的な難しい用語を使って会話できると思うかもしれない。そんなことはありえない。

そりゃ、たくさん読んだら、用語くらいは覚えて、それっぽい会話はできるようになるかもしれないよ。でも、それだけだ。ほんとうに頭のいいひとにはかなわない。それに、難しそうな会話が出来るだけなら、それって努力に見合っているだろうか。親しい知人から物知りさんくらいには思われるかもしれないけれど、それはほんとうにメリットといえるだろうか。

この点をどう考えればいいだろう。そして、どう解決できるだろうか。要するに、読書のための読書ではなく、真の意味で役立つ読書はどうすれば実現できるだろうか。もちろん、読書の目的は教養かもしれない。でも、この連載で目指すのは、ズバリ、役立つ読書、もっといえば稼げる読書術だ。

たとえば、あなたが将来、講演家になりたいとする。

普通に考えるならば、講演家になるくらいの実力をつけたりだとか、名声を獲得したりして主催者から呼ばれたりすることだろう。そうなると、どうしても、そのレベルに達するまでは講演家になれないことになる。

その常識があれば、いつまでたっても講演家にはなれないだろう。

私がオススメしたいのは、そんな夢を叶えながら読書する方法だ。いや、逆だといってもいい。これまでは読書を重ねていて、稼げる立場になることを目指した。でも、そうじゃないんだ。稼ぐ過程において読書を戦略的に使う。つまり、お金を稼ぐために読書を使うという一挙両得の方法を使うのだ。「学んで富む」のではなく「富むために学ぶ」。

これまで読書が続かない一番の原因は、その効果が見えないことにあった。そりゃそうだ。いつ結果が出るのかわからないことに、多くの人は時間を使えない。だから、稼ぐために必要な読書を重ねる。

しかし、どうすれば読書によって稼ぐことができるのか。

実際、読書は大切だよといわれながら、多くのひとが思い立った瞬間だけは書店に走るものの、それらは積んどく状態になっている。あるいは本棚の飾りにしかなっていないかもしれない。

実は、その誤りから抜け出せる方法がある。私はこれまで何年も、稼げる読書を実行してきた。それにセミナー、研修や、各種メディア出演など、読書の力抜きには成し得なかったのも事実だ。とても短期間で情報を収集しなければいけない場合がある。そんなとき、やはりネットよりも書籍からの情報が、現時点では、正確だし体系だっている。

その過程で、稼げる読書術が見えてきた(当連載は続きます)。

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