ドンブリ勘定は許されるのか(坂口孝則)
突然ですが、途中報告。
私は調達・購買コンサルタントをやりつつ、営業系の指導も行なっています。これは相反するものだとは思っていません。「調達・購買部門に選ばれるすぐれた営業組織づくり」を指南するものだからです。調達・購買部員を騙して売れ、とはいいません(というか、そんなことをしても、中長期的な関係にはなりえないからです)。
それと同時に、私の関心事項は、彼ら営業部門が、どうやって見積書を作成しているかにありました。彼らの見積作成技術がわかれば、コスト交渉もやりやすいですからね。それで、複数部門にヒアリングしたところ、いくつかの営業部門ではゼロから見積りを作っていないのですね。工場にある原価管理部門が提示した原価をもとに、利益率を設定するだけ--。これが現実のようです。
しかし、それならばまだマシです。少なからぬ営業部門は、もっとテキトーです。ズバリいうと、「材料費の3倍を見積り価格にするというものです」。合理的といえば合理的ですが。自動車や電機の一部を除けば、そんなもんかもしれません。
有名なところでは「ついてきなぁ!加工部品設計の『儲かる見積り力』大作戦」で國井良昌先生が、この材料3倍方式を紹介しています。もちろん、先生はこのやり方を完全肯定はしておらず、あくまでも経験と勘に基づいたものだとしていますが。しかし、現実的に、このやり方が瀰漫しているのに驚きました。
もしかすると、調達・購買担当者がやるべきは、各サプライヤの見積り作成工程を知ることかもしれません。あるひとは、サプライヤ見積りを分析すると、重さに比例している事実を発見したとおっしゃっていました(なんとテキトーな見積りでしょうか!)。そのサプライヤ傾向こそが、もしかして後任への最大の引き継ぎ資料にすらなるかもしれません。
<了>