一読即決<「超」文章法>(坂口孝則)
とても古い本です。このたび、文章術の本を執筆することになりまして、100冊近く文章術の類書を読んだものの、これがベストです。個人的にはなんと10年ぶりに再読しましたが、10年前にはわからなかった気づきにおふれていました。2013年の現在でも、まったく色褪せない傑作です。
「超」文章法 野口悠紀雄さん著
ほんとうに野口さんはマニュアル化、法則化するのが凄い。なんでも法則化してしまう。これは一つの巨大な才能です。
<ある命題を「メッセージ」と言えるかどうかは、どのように判断できるか? 第一の条件は、「ひとことで言えること」だ>
<ドラマチックに始め、印象深く終えよ>
<「わかりにくい文章」を書かねばならないのは、責任やコミットメントを回避したいからだ>
<「殿」は目下の人に対するものだ。その典型例は、官庁が人民にあてた通知文である。学生からの手紙で、野口悠紀雄殿の表書きで、中には「小生は」とあった。「君の手紙には重大な誤りが三箇所あった」と返事したくなった>
<「さらなる」だ。「一層の」という意味で使われているのだが、これは誤用である。(中略)文章中にこの表現がでてくると、私はその文章の内容全体を信用しない>
<「シェイクスピア」は「シェークスピア」に直される。これも社の規則だからと言うのだが、こんな発音をしたら、(日本以外の)世界のどこでも通じない>
などなど、著者一流の主張や皮肉(?)にあふれています。文章術でありながら、読み物としても面白い。果たして私の文章術本は、野口さんのこれを超えられるかどうか。読みなおしたところ、あまりに良かったので「一読即決」として紹介しました。
<了>