坂口孝則の「超」調達日記(坂口孝則)

■7月X日(月)■

・この日は一日じゅうDVDの撮影のために六本木のスタジオへゆく。本番前にスタバで原稿を見ながら最終確認した。いつも思うけれど、どこかで話すときに事前準備するかしないかでは結果がまったく変わる。もちろん、練習しておいたほうが良い結果となる。その練習はいつまでやっても終わりがない。常に「もうちょっと練習しておけば」と思う。ひとつの目安は話す時間の二倍の準備時間を確保することだろう。1時間の講演であれば、2時間を講演リハーサルに使うこと。

・ただし、難しいのは聴衆には「アドリブで話している」ように見えるのが望ましい。原稿を棒読み、あるいは覚えている通り話していると思われると芳しくない結果をもたらす(すなわちウケない)

・さらに、状況に応じて話の内容を変化させることも重要だ。私の感覚では、8割は準備どおり、2割はバッファーとして臨機応変に話を変化させるのが良いのではないか。まあ、今回はDVDの収録だったわけだけれど、話しているうちに思い出したことを次々と挿入していった。原稿の丸読みであれば、プロのナレーターに話してもらったほうが良いわけだからね。講義とはライブなのであるし。

・それにしても7時間も話した。疲れた。スタジオのひとからは「ミスが2回しかなかったのは凄い。普通のひとは、数十回くらいミスする」とお褒めの言葉をいただく。まあ、話し慣れるのは良し悪しですけれどね。

・六本木から歩いていると足がガンガンに痛くなった。プロントでビールを飲み、一人打ち上げ。来週も収録が続く。

■7月X日(火)■

・最近、怒っていることを書く。関西の某団体から講演の依頼があった。「ご希望の講演料金はありますか」とあった。俺が「ご予算は」と効くと、「それを訊いているのです」と返信があった。だからわざと、「50万円です」と書いた。すると、「5万円でいかがでしょうか。これが団体の規定です」と再返信があった。

・私は調べて書くタイプの作家やコンサルタントは1時間の講演で20万円が相場であろうと思う。さらに、関西方面であれば、拘束時間が長くなるために、高めに設定せざるをえない。もちろん、1時間50万円とは高すぎる、と私は思う。ただし、希望を書けと何度も催促された。

・その結果が十分の一だった。ひとを舐めた態度だ、と私は思う(主語が「私」だったり「俺」だったりするのはお詫び申し上げます)。「規定であれば、あらかじめ書くべきではないでしょうか。それは貴団体が掲げている、公平・公正な取引の推進、に値する行為なのでしょうか」と書いて送る。もちろん、返信はない。

・それにしても、ペコペコしてどんな仕事も断らない士業先生諸氏がいるから、このような団体が跋扈するのだろう。2年前の話だが、ある商工会議所で講演のとき、アシスタントの女性を連れて行ったら、職員から「あの子は、先生のアレ(小指を立てた)ですか?」と訊かれた。日本の伝統的団体は腐っている、と思った。

■7月X日(水)■

・この日も朝早く起きて広島へ向かう。それにしてもANAに私はいくら支払っているのだろう。サービスのことは特に不満がない。そういえば、先日、飛行機一座席あたりの原価計算をしてくれとテレビ局から依頼があった。「配賦が難しいし、意図的にやっても意味がありません」と答えた。テレビ局のスタッフに、「配賦」「固定費」などの概念を理解してもらうのに時間がかかった。というか、不可能だった。

・そうだよなあ。金子哲雄さんみたいに、ズバリ「2000円です!」なんていったほうがテレビのウケはいいよなあ。でも、そういうのできないのだよなあ。

・と自分の人生に想いを馳せる。

・帰りの飛行機では「いつだって僕たちは途上にいる」を読む。面白い。それにしても、著者の岡さんは電通出身ながら、ラディカルなことをいうよなあ。それともう一冊は大槻ケンヂさんの「サブカルで食う」。ははは。これも面白い。いわゆるサラリーマンではなく、独立して食っていきたいひとは必読だろう。

・面白いのは、大槻ケンヂさんが「月に15万円稼げる人間になれ」と言っているところ。15万円は低いけれど、最低の生活を営むことはできる。そういえば、津田大介さんも似たようなことを言っていたなあ。年間200万円ほど稼げることが独立のリトマス試験紙か。本を年間2冊書く能力があれば、独立できることになるな。

■7月X日(木)■

・とある女性から彼氏の不満を聞かされる。その場で「彼氏三人理論」をお話しする(ちなみに土曜日にもこの話をした)。それにしても、仕事上の関係者(俺のことね)に彼氏の相談をするとはどういう意味があるのだろう。それはいいとして、ぼくが話したのはこういうことだ。

「自立し、幸福を貪欲に求める女性であるほど、男性一人では飽き足りなくなる。そのとき三人の彼氏がいれば、満ち足りる可能性が高い。(1)一人目は、話が合い、収入が安定している男性。女性もこの種の男性を一人目に選ぶ。(2)二人目は、ちょっといいところに連れて行ってくれる男性。食事や趣味が、一人目を超越している男性。いつも会っていると刺激的すぎるけど、高みに上げてくれる男性。(3)三人目は、いわば僧侶。癒し系で、なごみ系。何でも相談できて、かつ怒らない仏のような人」

・この相談女性は「なるほどね」と頷いていたけれど、「じゃあ三人の彼氏を作ろうかな」とはいかなかった。そう、いつも理論や理屈と現実に乖離が生じるのだ。

・みなさんは、上記の「彼氏三人理論」についてどう思っただろうか。

・土曜日のトークライブの打ち上げで女性三人にこの話をすると、「そうそう」と頷いてくれた。しかし、「実行は難しいよね」とも

■7月X日(金)■

・朝から営業セミナーの打ち合わせ。面白いひとと打ち合わせするのは愉しい。話しているうちに次々にアイディアが出てくる。この打ち合せは、大阪でのセミナーと、東京でのセミナー向けのもの。ついに、営業マン向けにも話をするようになったんですねえ……ぼくは……。と感慨深い。

・調達・購買のことを広めるために引き受けた仕事だけれど、「売れる営業とは」を考える機会になって良いね。

・調達・購買の関係の講演も相次いでおり、ありがたいかぎり。次は京都で10月くらいに講演するようだ。その他、何かありましたら私まで。ちゃんとした人であれば、断りません(たぶん)。

■7月X日(土)■

大阪でのトークショーに向かう。牧野先生と実際の打ち合わせ時間は10分のみ! ほとんどのスライドは当日に拝見する。相手のコメントにとっさに反応する能力が問われる。しかし、俺のように適当に言いまくる人間が二人いてはダメ。やはり、落ち着いて話す牧野先生とコンビなので良いね。

・小さな会場に50人近くも……。参加者の発言の機会はかなり多かったように思う。それにしても、俺のくだらない話までメモしていただけた参加者には感謝を。

・というのもね、今週号のように当日の記録を配信するときも「ほんとうにヤバイ話」は記述できない。まさにその場にいた人たちのみの情報となる。これこそライブの醍醐味でしょう。だからイベントには参加したほうが良い、と俺は思う。

・3時間半も、話し続けるイベントが終わる。でも、桑田佳祐さんなどは、3時間半を歌い続けるわけで、俺のほうがはるかにたやすい。桑田佳祐さんはすごいなあ。ガンを完全克服して……。余談だけれど、ぼくは歌謡曲の世界では、桑田佳祐さんと、忌野清志郎さんと、細野晴臣さんが、土台を創りあげたと思っている。彼らは体力の衰えを知らない(知らなかった)。三十代で負けてなるものか。

・夕方から飲み会。いろいろな話をしたけれど、俺の本を読んでくれている人ってけっこう多いのね(笑) ちょっと驚く。「お前の本はつまらないぞ」とtwitterとかBlogで書いてくるひとはいる。だけど、「面白かった」とあえて書くひとも少ないんだよね。なので、自分の本を褒めてくれるひとと出会うのは、意外にレアケース。サイレントマジョリティのためにも、がんばらねば。

・少人数で飲み直してホテルへ。お疲れ様でした。

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