岡田斗司夫さんの注目すべき試み(坂口孝則)

岡田斗司夫さんという方をご存知でしょうか。「いつまでもデブと思うなよ」で有名になった人です。レコーディングダイエット、という言葉を聞けば、「ああ、あの人かと思う方」もいらっしゃるでしょう。ほんとうは私たちのあいだでは、オタキングという名称で有名な人なのですが、最近ではダイエット成功者として有名になってしまいました。50キロ以上も痩せたのですからね。おそろしいことです。

岡田さんは「いつまでもデブと思うなよ」を出版するときに「1キロ、1万部の法則」を提唱なさいました。著者が10キロ痩せたのであれば、10万部売れるというのですよ。しかも、岡田さんはその通り、50万部(正確にはそれ以上)を売ってしまいました。さらに凄いことに、ダイエット本の著者にしては珍しく、ほとんどリバウンドもありません。ただ、このことは本論ではないので、省略します。

ここで語りたいのは、岡田さんの新たな取組です。これは、一見、サラリーマンには無関係のように思われるかもしれませんが、かなり示唆に富んでいます。思惟のきっかけにもなるはずです。その岡田さんの新たな取組みとは何か? それは、「社員がお金を払って働く会社を作ること」でした。凄いでしょ。「社員がお金をもらう」のではなく、「お金を払って」働くのですよ。どういうことでしょうか。

http://putikuri.way-nifty.com/blog/2010/03/free-3e97.html

社員は、入社条件として、一ヶ月に1万円のお金を岡田さんに支払わねばなりません。1年間で12万円にもなります。そして、岡田さんはそうやって集めたお金を生活費として使うのです。その社員のメリットは何か。まずは、岡田さんと触れ合うことができる、ということでしょうね。岡田さんにはノウハウがたくさんありますから、それを身近にいることで身につける。これはそんじょそこらのビジネススクールではできない「実学」であるはずです。

そして、この岡田さんの会社が創り上げるのは「愉しい商品」。創るのが愉しい商品です。それは実際に例を見て確認し、各自でご判断していただくしかありません。ただ、岡田さんとこれらの商品を創り上げることができれば、それは愉しいだろうな、と私は思います。ファンのひとならばたまらないでしょうね。それが一ヶ月1万円でできるというのです。確認しようもありませんけれど、社員のSNSは盛り上がりすぎ、寝不足の社員が続出しているようなのですね。

しかし、ここまできても、まだ納得できない人もいるのではないでしょうか。岡田さんが凄いのはここからです。岡田さんは、社員がお金を払って働く会社を創り上げたあとに、岡田さん自身を「フリー」にするといいます。岡田さんの創り上げる商品が、すべてタダ。フリー(無料)になるというのです。岡田さんは自分の商品をタダで世界中に配布し、それによって世界を変えていこうという実践を始めたわけです。これは恐ろしい。

これまで、岡田さんのコンテンツが「有料だから」という理由で目にふれることがなかった人たちは、フリーであることによって体験することができます。岡田さんの本であれ、雑誌であれ、デジタルコンテンツであれ、それらが無料であれば「見てみようかな」という人も増えますよね。

もちろん、フリーで増えた読者のすべてが岡田さんのファンになる必要はありません。数%でもいい。いや、0.1%以下でもいいのではないですか。その数の人たちが岡田さんの会社の社員になろうとすれば、岡田さんはさらに凄い利益をあげ、それが岡田さんの質の良いコンテンツにつながっていくはずです。

この動きにたいしてどれほどの賛同者がいるのでしょうか。ある確信をもっていうのであれば100人は超えています。すごいですよね。月に100万円ですか。岡田さんのこれまでの年収から比べると「まだまだ」でしょうが、それでもスタートから黒字にしているという点は見習うべきことです。

やや突飛な発想を開始しましょう。すべての経済活動が逆転するかもしれない可能性を秘めている、と私は思います。これから営業マンはお金を払って商品を販売する。バイヤーはお金をもらって商品を調達する。そして、社員は会社にお金を払い、国は国民に税金を支払う。もちろん、これは極端な例ではあるでしょう。

しかしながら、それがある箇所では常識となる可能性はあります。昨今のベーシックインカムの議論は、まさに「国は国民に税金を支払う」の流れで読みとくべきではないかとすら思うのです。

この試みについてみなさんはどう思われたでしょうか。私の意見は上記のとおりです。まわりの(親しい)知人たちと話してみる価値はあります。単なる狂言なのか、あるいは優れた先進的な取り組みなのか。

その答えを、ぜひお聞かせください。

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