調達・購買にいるあなたが好きなことをして成功する方法(坂口孝則)

OJTなんかをやっている上司には大きな矛盾があるんですね。何か。それは部下には「好きなことをやれ」とか「なりたい自分をイメージして仕事をしろ」とか「夢を持て」とかいいます。しかし、心のなかではわかっているんですよ。「そんな仕事を与えることはできない」って。たとえば、部下がほんとうに夢を追うようなことをいったらどうしますか? ロックミュージシャンとして夢があるとかね。そうするとき、「いや、ほんとうの夢はそうかもしれないけれど、ここは会社なんだからせめてここでできる程度の夢を語ってくれよ」となってしまう。

つまり、OJTなんかでの上司の矛盾は、部下に与える「夢」というものが、あくまで「」(カッコ)つきの「夢」でしかないわけですよ。

でも、それはどうしようもないのでしょうか。調達・購買部門にいるなかでも、夢を追いかけることもできるだろうし、好きなことをやって成功することもできるはずなんです。ただ、そのときには、ちょっとカーブボールを投げる必要がある。部下が「ロックミュージシャンになりたい」と言ってきたら、それにストレートに答えるのではなく、変化球を投げることで、「好きなことをして成功する方法」を実現化できるんじゃないかって考えたんです。

まずそこで考えてみると、好きなことをして成功するって、三つの方法がありますよね。

1.時代が自分を理解してくれるまで待つ

ロックミュージシャンだったら、どんなに前衛だったとしても、絶対に妥協しない。難解な音楽であっても、たとえ現時点では食えなくても、とにかく時代がまわるのを待つ方法です。でも、部下にこの方法を勧めるのはちょっといただけない。

2.やりたいことのテーマを時代にあわせる

これだったら、たとえばロックミュージシャンでも、魂を売るわけです。妥協してパヒュームやAKB48を演奏するとか(会場・爆笑)。なんでもいい。時代が求めているものを演奏すれば、お金になる可能性は高いでしょう。ただし、です。これでも難しいかもしれない。なぜならバックミュージックだって数は限られているかもしれませんし、才能の問題もあります。では、どうすればよいか。

3.そもそもやることを需要があるものに変える

これなんです。だから、この3.まで発想を広げることができればロックミュージシャン志望の人たちも、マッサージ屋をやることができる。つまり、ミュージシャンとしてやりたかったことが「お客さんを非日常に誘い、喜びを与えること」であれば提供物が音楽でなくてもいいわけです。そして、ここまで拡大して考えることができれば、すなわちどんな職業でも「夢を実現させて食っていく」ことができるようになる。好きなことをやって成功することができるわけです。

もしかしたら、これを聞いて「詭弁だ」と思った人がいるかもしれません。でも、そうではないと私は思います。人間の喜びとは、常に現状を肯定し、さも現状の仕事を「かつてからやりたかった」かのように誤解するプロセスにこそあるんじゃないんでしょうか。つまり勘違いすることができる、というのが人間のもっとも大きな能力ではないかとすら思っているんです。

このロジックを使えば、何をやりたかった人間でも、その夢を持ちながら調達・購買という分野で活躍・成功することができる。これは素晴らしいと思うんです。この図を見てみてください。

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これまで何百人、何千人かもしれませんけれど、ビジネスマンを見ていて気づいたことがあります。この図は、縦軸に「金になる」、横軸に「愉しい」「やりたい」という指標をつけています。この「金になる」っていうのはシンボリックな言葉だと思ってください。たとえば「他者から承認を得ることができる」とか「仕事が好評を博す」とかでも置き換えて考えていただいて結構です。

そこで、最初は調達・購買っていう仕事をしたくない人がいる。そうなると、最初は四つのマトリクスのうち、左上なんですよ。ただ、面白いことにささやかであっても成功体験を重ねていくことで右上にシフトしていくんです。そして、このプロセスで「あ、俺はこの仕事でよかった」と思うようになり、「もともと俺はこの仕事をしたかったんだ」と思うようになる。繰り返しですけれど、この思い込むっていう過程は大変重要だと私は思います。

逆もそうなんですよね。ずっと子供の頃からやりたかった職業に就いた人もいる。作家でもミュージシャンでもいい。でも、そういう仕事って実はあんまりお金にならないんです。だから、右下から開始します。すると、せっかくそれまでほんとうにやりたかった仕事だったはずなのに、お金にならない、他者の承認が得られない、ということになると、左下にシフトしちゃんですよ。これは悲惨です。かつ、残念なことです。でも、「夢ばかり追いかけた末路」としては、もっとも見られるパターンです。

つまり、もっとも簡単に「好きなことをやって成功する」方法とは、自己をだましちゃうことなんです。自分が成功体験を重ねているうちに、「これがもともとやりたいことだ」と思ってしまえばよいわけですからね。

最近、芸能人の人と話すときに「なぜこのお仕事なさっているんですか」と訊くと「わからないんですよね。きっかけもたまたま……」と言われることが多い。ぼくは以前まで「そんなことないでしょう」と感じていたんだけれど、そうじゃない。なぜ仕事を続けているのかわからない、ただわかるのはこの仕事が愉しいことくらいだ、というのは本音ではないかと思ったんです。つまり、仕事を愉しみ、成功するためには、「なぜ自分がその仕事に熱中しているか」という動機がある程度「わからない」状況が必要だと思うんです。それと、「その仕事は愉しいけれど、よくわからない」という状況。それが大切でしょう。

恋愛がはじまるときは「あなたのことをもっと知りたい」という言葉。でも、恋愛が終わるときは「あなたがどういう人か、もうわかっちゃった」となる。これは示唆的だと思う。物事とは「わかっちゃった」瞬間に大変つまらなくなってしまう。そんな特性があると思うんです。だから、OJTでもなんでもいいんですけれど、部下に教えるとき、あるいは自分自身をの「夢」というものを考えるときにも、まずは「なんとなく愉しいし」「金になるし」「他者に認められる」という状況をいかに早く作り上げるかがキーとなるはずです。

それ以降は、自分が「ああ、この仕事を以前からやりたかった」と勘違いしてくれるんですから。

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