仕組み理解の重要性

先日の中国訪問では、中国政府が力を入れるとされるスマートシティを訪問しました。訪問先内のホテルがあったのですが残念ながら満室。近くの市街地のホテルに宿泊しました。夜は、ホテル周辺のショッピングセンターに食事もかねて繰り出しました。

レストランに入って驚いたのが支払いのタイミング。キャッシュオンデリバリーの店が多かったのです。違和感を覚えつつも「郷に入っては」の精神で、見よう見まねで支払いました。朝食はホテルで食べたので、滞在中4回入ったレストランのうち、2回が店に入って注文し、その後料理が運ばれてくる前に支払いでした。そして、多くの人は、スマホ決裁で支払い。現金やクレジットカードの支払いは、明らかに遅れている支払い方法だったのです。

ただ冷静にやりとりを思い返すと、現金やカード払いと、スマホに表示されたQRコードを店舗側の端末に読ませる電子決済では、テーブルに店員が足を運ぶ回数が1回少ないのです。二日目の夜に入った店舗では、テーブルが20卓ほどでした。営業時間は11:00~22:00。常に満席と仮定して顧客一回当たりの滞在時間を45分とすると、テーブルごとの一日当たりの顧客数は293組にもなります。たかだか1往復といってもちりも積もればで、けっこうバカにならない手間と労力ですね。

オフィス街のコンビニでは、始業前の時間帯に長い行列ができますよね。店舗側でも、少しでも時間を短縮しようと精鋭の店員たちをそろえ、次々と支払いを処理してゆきます。でも、もしも顧客が手に取って、自分のスマホで決済ができれば、行列とは無縁になります。自動決済の実現は、アルバイトの確保に悩む業界にとって、円滑な事業運営の救世主になる可能性を秘めています。

自動決済だけで店舗運営すれば、例えば一定時間ごとに必要になるレジの締めや、釣り銭の準備、売上金の入金といった作業もすべて無くなります。何か良い話ばかりですね。なにかスマホによる自動決済に問題はないのでしょうか。するとこんな記事を見つけました。

鳥越俊太郎氏(78)が電子マネー強制社会に怒り 「私たちは現金世代」
https://www.news-postseven.com/archives/20181003_774673.html

 

電子マネーか、現金かといった議論ではなく、私は記事の次のコメントに注目しました。(以下、記事より引用)

「ポケットの小銭をジャラジャラさせているから、それが減ると“お金を使った”という感覚が得られる。カードやスマホだと“お金を支払う”という行為を意識しにくいから、ついつい使いすぎてしまうような気がする。ビジネスとしては正解かもしれないけど、私のような現金派としては疑問ですね」(引用終わり)

鳥越さんも私と同じく中国に取材に行って、現地の状況を目の当たりにしてコメントしています。しかし、上記のコメントは仕組みを正しく理解していないかもしれません。というのも、中国で一般化している電子決済は、銀行口座残高と照合した上で使用した金額の引き落としを行っています。したがって、ポケットの小銭同様に使いすぎるのは仕組み上あり得ないんです。中国でスマホ決済が急速に広まったのは、まさに日本で一般的な現金取引を、ネットに接続したスマホと銀行口座を繋いで実現しているだけです。個人信用を創造せず現金預金に限った決済だからこそ、社会に広がったと言えるのです。

私は、人手不足を解消するために、できる電子マネーを使おうと思っています。電子マネーで、計算間違いやお釣りの渡し間違えのリスクがない方が、店員さんとの会話も弾むんじゃないかな?

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