先週の調達・購買担当者が見るべきニュース(6月1日~6月7日)

2024年6月1日
日産、下請け取引改革組織 公取委勧告後も不満の声 社長直轄で相談対応

これほどの大手企業で下請法違反があったのが今でも信じられない。しかし真摯に対応する姿勢を示す1つの方策として、新たな組織の創設が報じられた。確かに分かり易い施策だが、ポイントは新たな組織にどんな機能と責任をもたせるかであろう。日常的なサプライヤとの取引は担当者(バイヤ)が行うはずで、下請法違反になるようなアクションはシステム的な制約や、調達・購買部門内決裁基準で排除すべきだ。担当者(バイヤ)の一挙手一投足を新組織がチェックするような機能では、ただでさえ人手不足で調達・購買部門の価格査定や交渉といったスキル減退が叫ばれる中、また基礎的機能の減退を進めることにつながってしまう。本件では、さまざまな記事が報道されているが、担当者(バイヤ)のスキル不足を指摘する内容もある。その辺のサポートもあわせて行わないと、なにもかもチェック機能では、ただでさえ遅い意志決定スピードがより遅くなりかねない。問題発生の解決から再発防止の過程で新組織発足は、1つの有効手段だと思うモノの、ポイントはその機能と責任であり、コンプライアンスと業績追求をどのように同時実現するかは、十分な討議が必要だ。

2024年6月3日
苦戦するデジタル不正調査 フォレンジック、「限界」報告相次ぐ 企業、記録保存に甘さも

世の中で話題の「ビッグデータ」の前に、従来業務データの管理ルールの策定・見直しが求められるであろう。私は、サプライヤ担当者とのメールやチャットのやり取り記録も、サプライヤ管理上文面以外も含め非常に重要なデータであると考えている。しかしサーバー容量を圧迫するとの理由で、数カ月間のやり取りしか保管できない企業もあると聞く。添付ファイルの容量によっては、メールやチャットのデータ量も膨大になるが、社内で重複データを一元管理して削減すれば、メールやチャットのアーカイブはかなり圧縮できるはず。記事のケースは、不正調査の中でのデータ保管の問題だが、コミュニケーションを丹念に見直せば再発防止のポイントも判明するはず。より良い業務プロセスを設定する為にも、日々の記録をデータとしてどう残すかが今、企業にとって大きな課題と認識すべきだ。

2024年6月4日
社長の能力「定義」2割 上場企業主要400社 65%の米国に後れ

これは実機評価の側面が強いからだろう。確かに担当者の能力定義は多くの企業に存在しているが、管理者や経営者の能力が定義されている例を、調達・購買の現場で目にした経験はない。ちなみに、調達・購買マネージャーに必要な能力は、次の様な内容が該当する。これ以上の詳細について、各企業で定義するべきだろう。
1.分析力
2.交渉力
3.コミュニケーション力
4.コスト管理力
5.技術スキル

2024年6月4日
DXで管理業務4割減 ちゅうぎんFG 成長戦略に人材

地方面の記事だが、DXのターゲットが明確に示されている。これまで実務上の効率化案件への取り組みは行われてきたが、管理職レベル業務のDX化といったテーマは打ち出されてこなかった。DXやれっ!と音頭を取る人々が、自分の地位を減らすような取り組みは行わないだろうし。こういった取り組みは、人員削減と直接的につなげない制度設計があれば、有効ではないかと思う。

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