3-5買うものの品質を知る ~品質保証部門との対峙と協力~

QCD(品質の向上:Quality、低コストの実現:Cost performance、必要な時期に届ける:Delivery Date)の最初に表現される品質。品質管理部門は、自社製品の品質を確保・維持する重要な役割を担っています。調達購買部門とは、品質とコストの両立を目指す協力関係の構築が課題です。

☆購入品の品質管理

購入品の品質管理は、従来の受入検査によって自社への流入を防ぐ管理から、サプライヤーの生産工程で不具合品を後工程に流出させず、不具合をサプライヤーの設計企画段階で抑止する源流管理へ移っています。サプライヤーの源流管理には、サプライヤーの新規採用審査、購入を続けるための継続審査の際、品質管理体制を評価し、問題点の事前対策が重要です。

取引を行っているサプライヤーは、スケジュールを設定し共同してサプライヤーを巡回する体制を構築します。品質管理上の問題点を監査によって明確にし、改善活動を進めます。

☆受入検査の意義

源流管理の実践は、バイヤー企業で行う受入検査の実施方法に大きな影響を与えています。サプライヤーの品質管理体制と実践内容の確認に労力を費やし、受入検査は簡素化もしくは、省略するケースが増えているのです。品質は、顧客の要求水準を確保する、繰り返し購入であれば、確保した品質水準維持が必要です。受入検査は、源流管理と同じく、サプライヤーの品質維持を確認する重要な意義があります。源流管理が機能しているかどうかは、受入検査を併せ実施して確認します。

☆トラブル対応時に発揮するバイヤーのバランス感覚

品質トラブルが発生した場合、一刻も早く原因を排除し品質を取り戻さなければなりません。一方調達購買部門は、コスト削減が重要視しています。主流となっている品質面の源流管理は、サプライヤーで品質管理に要する時間を増大させ、結果的に購入コストへ跳ね返るケースも発生しています。購入時のコスト面だけを考慮すれば、マイナス要因と映るケースもあります。はたして源流管理による管理時間の増大は、本当にマイナス要因でしょうか。

品質面での大きなトラブルは、その規模によって会社の経営を揺るがす事態になり得ます。源流管理の実践による管理時間の増大は、コスト面での競争力を減退させる要因となる可能性をもっています。高い品質の確保・維持と、適正なコストは両立させるべきです。問題は両社に二律背反な要素が含まれている点です。

品質とコストとは、同時に追求し成立が必要です。調達購買部門は、QCDすべてを兼ね備えたサプライヤーから購入を目指します。コストと品質に迷ったとき、バイヤーにはバランス感覚が必要です。品質、コスト双方の適切な実現を模索できるのは、調達購買部門だけです。品質とコストのバランスは、調達購買部門が中心になって、品質保証部門に代表される車内関連部門に問題意識を投げかけ、最適な解決へと導く主導権を発揮します。(牧野直哉)

無料で最強の調達・購買教材を提供していますのでご覧ください

あわせて読みたい