もてる方法(坂口孝則)

日々企業で研修をしていると、終了時に拍手をいただける場合があります。「ありがとうございました」とお一人おひとりから聞くことはできませんが、その意味で拍手は謝意を表現できるツールです。ところで、この拍手とは実は明治に「輸入された」ものです。それまで日本人に拍手をする習慣はありませんでした。

拍手をあびるようになってから、拍手の歴史を調べるとは、いかにも私らしい行為(自分で言うな)でしょうが、実に昭和初期も庶民は拍手をせずに無表情でうなずくだけでした。

そしてもう一つの変化は、日本人が行動する速度をあげたことです。どのような文献を見ても、昔の日本人は「のろかった」と確認できます。歩く速度、などの生活活動全般がのろかったのです。話すスピードも遅かった。いまでも農村の方々とお話すると、えらくゆっくりしているなあ、と感じます。

スピードの向上が日本の富の拡大に寄与しました。当たり前ですよね。理屈的には働く量が倍なら、豊かさも倍になるのです。え? それが結局のところ、なぜ「もてる方法」につながるのか?

私は現在、さまざまな有名人にお会いする機会が増えました。そして、もてるひとや、金持ちのひとに会う機会も増えました。そこで得た結論は、上記と同じく、「のんびりしたひとはいない」事実です。いま、私たちができることは、「とにかくたくさんの時間を、新たにはじめることに使う。机に座るのではなく、物事を前に進ませる」。これしかありません。

おそらく、何かを動かし続けるその姿こそが、周囲からもてる人間を作っているのではないかと思います。動く、動く、できれば早く、速く。これ以外に何もありません。決断のスピード、行動のスピードを上げる必要があります。もちろん、金持ちのなかには働いていないひともいます。しかし、それは他人に働いてもらっているからであって、その仕組をつくるまではがむしゃらに働いていたのです。

決断のスピードを高めましょう。行動のスピードを速めましょう。私は誰かに何かを提案されたら「いまからやりましょう」といいますが、それが後悔なく生きるたった一つの方法だと信じているからです。

年始になるとみなが「今年の抱負」を語り始めます。しかし、抱負などを立てる時間があったら、すぐに行動する。抱負のない人生のほうが、はるかに優れていると私は思います。そして、抱負を書く時間があったらすぐに走り出すことこそが、とびきり冴えたやり方、だとも。

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