【本音】何も考えない同僚がイヤになりませんか(坂口孝則)
以前、某大手メーカーのみなさんと仕事で触れ合う機会がありました。もっというと、大手の自動車メーカー勤務の方々です。工場で働いている方々です。また、くわえていうならば、調達・購買業務のコンサルティングではありません。彼らの預貯金状況を知り、ライププランをお伝えする場でした。
そこで、知ったのですが、多くの方々に、そもそも預貯金がありませんでした。結婚適齢期の方であってもそうです。預貯金はあっても20万円以下、というひともたくさんいました。さらに仲良くなると、消費者金融からお金を借りているというひとが相当数にあがりました。
実に、1000万人の日本人が消費者金融を利用しています。驚くべきことです。
ところで、私はフェイスブックなどのSNSをいくつかやっています。そうすると、どっかのメディアで私を見たからでしょうか。突然メールをいただくことがあります。驚愕するのが内容で「生活に困っています。2万円を貸してください」といったメールをもらったのも、一度や二度ではありません。
もっとも社会構造上、本人の責任ではない、貧困女子や貧困男子は存在します。しかし、上記のメールをもらったひとのアカウントを見てみると、週末はパーティーをしていたり、どこかに遊びに行っていたりしています。どのような人生を歩んできたら、見知らぬ私に、そのようなメールを出せるのでしょうか。
世の中は「カネあまり」といわれています。しかし、現在、同時にあふれているのは、カネのない企業とカネのない労働者たちです。企業がカネ(保有現金)をじょじょになくしていくのは、見たくない現実を見ないからです。資金繰りの破綻やビジネスモデルの崩壊は、突然というよりも、確実にやってきます。労働者の、預貯金の減少も、ひごろの無計画ゆえです。
だから、従業員の給料総額を減らそうと思えば、給料日よりも2週間早く支給すればいい。その代り、5%差し引きます、といったモデルは効果てきめんでしょう。取引先もおなじです。取引先の営業パーソンにいっても伝わらないでしょうが、取引先の社長に伝えれば、「キャッシュの支払を早める代わりに、5%安くしてください」といった施策もありうるはずです。
さらに話を変えます。いろいろな調達組織で「誰も何も考えない」と相談してくるマネージャーがいます。全員がいわれたことをやるだけで、積極的に前向きな施策を考えようともしない。そのくせに文句ばかりいう。ただし、自分の人生すらも考えていないのに、仕事について考えるはずありません。
私たちは、まず「周囲は誰も何も考えていない」という認識しておかなければならないのです。この記事のタイトルは「【本音】何も考えない同僚がイヤになりませんか」ではあります。しかし、まわりが考えないのを前提としながら、「それでも周囲のひとたちを動かす方法」を練る必要があります。
また、私はこのところ、他者と差別化する方法は簡単ではないかと思っています。それは、単に考えればいい。ちょっと立ち止まって「この仕事を付加価値を高めるためには」「戦略とは」「効率化するためには」といった内容を、ただただ考えればいい。
私は、それで、ただひたすら考える行為を続けています。やり方はすごく簡単で、「一日に一つだけでもいいので、何か前日よりも、良くする方法を考える」というものです。極端な話、通勤の道を変えるとか、パソコンの辞書登録とかでもかまいません。けっきょく、すべては考えて、改善実行する積み重ねにあります。
そして、これは保証しますが、毎日やったら数年後にはすごくなります。だって、一日1パーセントを改善していったら、実力の倍になるのはすぐですからね。