サプライヤトラブル対処法15(牧野直哉)

・対処法2つのポイント~コンプライアンス

コンプライアンスの観点では、現金による100%満額支払いまでの期間は短縮すべきです。一応の目安は「受入月末締翌月末現金払」です。理由は、下請法+通達で明確に短縮化がうたわれていること。金利動向によっては、発注側の資金負担増加の可能性があります。2021年まで、企業の内部留保は9年間連続で過去最高を更新しています。企業=発注企業ではありません。今の金利状況と、厚い内部留保で、反発も少ないと行政が判断した面もあるでしょう。法律なので、つべこべ言わすに遵守する方向にマネジメントすべきです。

・発生の真因~販売力と購買力の対峙

今回のケースは、下請法に代表されるコンプライアンスが主因ではありません。発注企業の購買力とサプライヤの、販売力の力比べの結果です。従来発注企業の条件を疑いもなく受け入れられていた時代から変化していると捉え対応すべきでしょう。

今回のケースでは、120日分の金利負担を巡る攻防です。発注企業は120日分他のサプライヤと対比して早期に支払う必要があります。発注企業内の支払い資金利息が設定されていれば、金利発生額を算出。競合サプライヤがいれば、金利含めた見積金額の比較も可能でしょう。今回のケースでは競合サプライヤがいないので対比もできません。

サプライヤへ主張する余地があるとすれば、見積書に明記された諸条件の中に、サプライヤの希望する支払い条件が明記されたいたかどうかです。この確認を行うと発注企業の見積依頼に支払い条件の明記があるかどうかに話がおよびます。しっかりと発注企業の条件を明記していれば、サプライヤ主張を押し戻せる可能性も残っているかもしれません。

問題はサプライヤ主張の本質。サプライヤが他に発注先がないと知って、単純に足もとをみて行っているのか。それともサプライヤの考え方・ポリシーに基づいて主張しているのか。後者の場合、他の発注条件にも発注企業の考え方と異なる点があるかもしれません。QCD+α全般的に発注企業の条件を満たしているのかどうか確認しておきましょう。

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