輸入限界係数を知っていますか?(坂口孝則)
いまさらですが、輸入限界係数の計算方法を知っていますか? これは海外サプライヤから輸入したほうがいいのか、自国サプライヤから調達したほうがいいのかを決めるものです。
どのような計算式かというと、下記です。製品Aをある国で生産したときの現地価格と、製品Aを日本で生産したときの円価格があるとします。
輸入限界係数=「製品Aを日本で生産したときの円価格」÷「製品Aをある国で生産したときの現地価格」
となります。たとえば、スマホケースをアメリカで生産したら3ドル、日本で生産したら400円だとします。その場合は、輸入限界係数は次のように計算できます。
輸入限界係数=400÷3=133.33
この133.33と為替レートを比較します。そうすると、現在の1ドル=108円よりも高いですよね。輸入限界係数が為替レートを超え、高いほど輸入すべきと判断できます。繰り返します、この輸入限界係数が高いほど、輸入すべきです。なぜならば、輸入諸経費がかからないとすれば(これはあくまで仮定です)輸入したほうが安価になりますよね?
実際には、輸送費や、今回の米中経済戦争で話題となっている関税があります。したがって、輸入限界係数が為替レートよりも、30パーセントとか40パーセント高くなっていなければなりません。しかし、このように輸入限界係数を計算せずに「なんとなく」生産地を決めている場合があります。
私は思うんですが、こういう混乱のときほど、基本が重要だなと思います。この輸入限界係数をちゃんと計算して、調達戦略を構築したいものです。