調達の常識がデタラメで、私は我慢ができません(坂口孝則)
調達業務のデタラメをお話します。何かというと、サプライヤの評価方法です。サプライヤ評価とは、そもそも中長期的に付き合うべきサプライヤを選定するためのものです。ただ、もう一つ理由があって「倒産するサプライヤを見極める」理由があります。私は、新卒で入った会社の思い出があります。ほとんど、決算書は読めない
にもかかわらず、読み解くことを要求されます。つまり、決算書の読み解き方の教育がないのです。
決算書の読み方がわからないために先輩に訊いたのですが、先輩もわかっていませんでした。誰もが曖昧に解釈していたのです。
たとえば、私が明確に覚えているのですが、「倒産する企業は効率が悪いから、一人あたりで計算すると、間接費用が高い」といわれました。しかし、統計上の調査をしたらどうでしょう。倒産する企業、倒産しない企業で、ほとんど変わりません。考えてみれば当たり前ですよね。だって倒産する企業も、しない企業も、ビジネスモ
デルの違いが原因であって、一人ひとりの社員の効率とか、給料がそんなに変わるはずはありませんよね。
さらに「流動比率が違う」とよくいわれます。流動比率とは、一年以内に現金化できる資産を、一年以内に支払わなければならない負債で割ったものです。だから、倒産する企業は、流動比率が悪いといわれます。しかし、実際に比較するとそんなことはないのです。なぜだと思いますか? 倒産しそうになったら、資産を売却して、
現金化しようとするんですよ。当然ですよね。だから、危ない企業は、流動比率で見れば、素晴らしい企業に近づくのです。
ここでは、「一般的に考えられている常識ではなく、もっと広い観点から倒産する可能性のある企業を見極めてください」という教訓にとどめます。