調達業務と鮎川義介とヒトラーについて(坂口孝則)

鮎川義介(あゆかわよしすけ)さんをご存知でしょうか。私が尊敬する実業家で、現在の日産自動車や日立製作所の礎を築いた偉人です。渋沢栄一さんも偉人ですが、鮎川義介さんの偉業も凄く、私は多くの自伝を愛読しています。

ところで、その鮎川さんがナチスドイツのヒトラーと面談した記録が大変に興味深いものです。いわく、ヒトラーが非常に日本のシステムに感心した逸話が残っています。

それは、非効率的なれども有効なシステムとしての天皇制です。ヒトラーは鮎川さんに「天皇制を我が国で作ろうと思えば500年はかかる」といいました。一見、非効率のように思える天皇制。だけど、それがゆえに、世界から尊敬される仕組みが出来上がりました。

効率性を追求するほど、逆説的に非効率を求めたほうがいい。なんたる事実でしょうか。なお、鮎川さんは異常なほどの効率性を求めていたといわれます。いくつかの伝記によると、鮎川さんは打ち合わせのとき、挨拶や儀礼を述べず、いきなり本題を切り出し結論だけを求めたといいます。

ちなみに、私は鮎川さんを尊敬しています。そうじゃなかったら自伝とか読まないからね。しかしながら、非効率ゆえに成果を上げられる真実について目を逸らすべきではありません。

みなさんは効率的な恋人関係を想像できるでしょうか。効率的な友人関係も想像できるでしょうか。私たちは効率性だけを意識しすぎました。経済が縮小していくなか、特定の取引先を優先するはずです。そのときには、むしろ非効率的な友好関係を築いてきた、湿っぽい人脈を選択するでしょう。

そこで私は、反時代的に非効率なコミュニケーションも推薦したいと思います。

・定型業務は効率性の徹底を
・しかし人的関係の構築には非効率な取り組みを

ということになります。

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