品証部門との対峙

お悩み:購買として、サプライヤから提案をもらったり、新たなサプライヤを参入させたりして、少しでも安い金額での購入を目指しています。しかし、何かといえば品質保証部門から突然「待った」をかけられ、コストダウンが進まずに困っています。

お答え:まず、ちゃんとサプライヤと品質保証部部門で意思疎通ができているかどうかを確認しましょう

コストダウンを進めるバイヤと、Q(品質)の安定を目指す品質保証部門との対立は、それぞれの存立意義を浅く捉えていると顕在化しがちです。例えば調達・購買部門でコストダウンだけに固執し「品質は品証マター」と考え、品質保証部門では高品質のみに固執し「コストダウンは購買の仕事」と考える場合です。

組織的な最優先事項を考えれば、調達・購買部門がコスト、品質保証部門が品質を追求すべきですね。問題は、1つの購入品をめぐってコストと品質のせめぎ合い・対立が発生してしまうことです。調達・購買部門と品質保証部門の対立の解消は、QCD全ての面で安定的な発注につながります。

御相談では、品質保証部門から度々待った!をかけられているようですね。その理由や根拠はどのような内容でしょうか?安定的な品質確保が難しいのか。安定的な品質確保ができているかどうかの確認に時間がとれないといった状況もあるでしょう。今や人手不足は、部門を越え、会社を越え、業種を越えた大きな課題です。何を言わたのか、その根拠は何かまでしっかり理解しましょう。「待った!」の理由が、サプライヤの能力や管理レベルの問題なのか。バイヤ企業内のリソース割り振りの優先順位問題なのかを明らかにします。

サプライヤに何らかの問題があるか、品質レベルに疑念がある場合の両方を想定します。内容に妥当性があれば調達・購買部門がサプライヤに問題点や疑念の払拭を申し入れましょう。人手が足りなくて品質確認の時間が取れない場合、発生費用と効果を明確にします。調達・購買部門の取り組みを品質保証部門がサポートして得られる効果が大きい場合は、業務の優先順位変更を申し入れます。意志決定は、各部門の発言力によってではなく、シンプルに費用対効果を目安にすべきですね。そういった日頃の業務環境整備、論理的に社内関連部門に発言できる調達・購買部門であることも必要です。

同じようなケースで私が心がけていたのは、サプライヤと品質保証部門との間での直接的かつ十分な意思疎通です。タイミングを計って時間を確保して、問題や疑問を直接解消する機会の設定を働きかけていました。重要な点は、機会設定の調整を主導し、品質保証部門対応をサプライヤと協力して行う点です。今、新型コロナウイルス流行で難しい状況ですが「百聞は一見にしかず」を心に、品証部門担当者をサプライヤに連れ出します。品質保証部門を説得するのではなく、調達・購買部門の取り組みに「巻き込む」取り組みが効果的です。

会社組織は専門性を兼ね備えて業務効率化が進んでいます。一方部門ごとの利害対立が発生しやすくなっています。本来最終的なゴールは同じです。利害による対立を助長するのではなく、どうやって協力して解決するか。社内がそんな雰囲気に包まれるように取り組みましょう。

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