レポートが完成しました!
東日本大震災から10年経過を前に「東日本大震災から10年 企業のサプライチェーン管理はどのように変わったか?」と題して、皆さまにアンケートをお願いしました。非常にたくさんの方から御回答をいただきました。御回答いただいた方には先行してお送りしたレポートをメルマガ読者の皆さまにも公開します。
調達・購買業務にたずさわる皆さまにとって、大震災に代表される自然災害対応は、引き続き大きなテーマです。そして確実な進化と、直面する問題点が見出されたアンケート結果でした。レポートに先立ち、まえがきを公開します。
東日本大震災が発生して6ヶ月後の2011年9月、私たちは「大震災のとき!企業の調達・購買部門はこう動いた」を出版しました。震災発生5年後の2016年にもアンケートをおこないました。今年は10年、調達・購買部門の現場がどのように変化したのかを、誰より知りたくてアンケートを企画しました。
結果には、2011年当時大混乱を起こしたサプライチェーンは確かに進化している実態と、次々と発生する自然災害への対応に苦慮しながらも、調達・購買業務のリスクと格闘するご回答されたみなさんの姿でした。
冒頭であえて2020年代のサプライチェーン災害対応のポイントを2つ挙げます。1つは、これまでの10年間取り組んできたBCPやサプライチェーンリスクへの対応の結果で得られた「有効性」を維持する取り組みの日常化・定着化です。大きな災害の発生後、甚大な被害を目の当たりにして新たな活動が起こります。思い起こせば、東日本大震災発生後の10年間だけでも、多数の大地震が発生しています。大地震は一定期間ごとに繰り返し発生すると歴史が証明しています。私たちは次なる大地震へのカウントダウンの中で生きているのです。地震に代表される自然災害を「いつ起こる変わらない」ではなく「いつか必ず起こる」と考えるべきなのです。BCPやサプライチェーン断絶防止といった取り組みを、災害発生後の特別な取り組みとして位置づけると、必ず風化します。リスク対応の日常業務化こそ今、企業に調達・購買部門にもとめられているのです。
もう1つは、サプライチェーンリスク対応の裾野拡大です。今回のアンケートではじめてサプライヤへ支援する調達・購買部門の取り組みが報告されました。大企業では取り組みが進んでいる反面、中小・零細企業では、まだまだ取り組みが不十分です。サプライチェーンリスク対応は、顧客から言われたから行うのではなく、自分たち、自分たちの事業を守るために行うべき取り組みです。残念ながらこれからもなんらかの自然災害は発生し被害を受けるでしょう。中小・零細企業では、費用面、人材面でなかなか対応するリソースの確保が難しいのでしょう。そんなとき、調達・購買部門がリスク対応のノウハウをサプライヤへ提供する取り組みが始まりつつあるのです。こういった取り組みはぜひ「まね」していただき、皆さんの災害発生リスク対応の確実性向上へ役立てていただければと思います。
最後に大変お忙しい中、アンケートに御回答いただいた皆さまへ、謹んで御礼申し上げます。ありがとうございました。