「この前の説明、どうでしたか?」と聞いてみよう

最近ではZoomやTeamsを活用してリモートで研修やセミナーを行うのが当たり前です。本来なら会場で受講される皆さんと一堂に会して、お話しする内容の反応を見たり、質問を受けたりしながら進めたい。新型コロナウイルスを克服するまでは、こういった環境が続くのでしょう。がまんの日々ですね。

 

そんな中でより重要視するのが、受講した皆さまが書いてくださったアンケートです。講義内容のよしあしや感想と同時に、皆さまの近況報告がとても興味深い。最近の大きな悩みはサプライヤとのコミュニケーションです。

 

面談が難しい中、サプライヤの最新状況掌握に御苦労されるバイヤの苦悩がこもるコメントを多く拝見します。ちょうど4月に新年度となる企業では、あらたな1年の調達・購買戦略や方針を伝えるタイミングも迫っています。本来なら集合して自社幹部から2021年度の方針や戦略を示して協力を要請したい。しかし代替え手段であるWebミーティングだと、相手に主旨が伝わるか不安といったコメントが多く寄せられます。

 

同じ会場でサプライヤ出席者と空間と時間を共有すれば「やった感」は得られます。しかし会場開催でもWeb開催でも、ポイントはこれから始まる2021年度の話。バイヤ企業の打ち出した方針がサプライヤに理解され、バイヤ企業の取り組みをサポートするサプライヤのアクションが得られるかどうかです。かつて会場で開催していたとき、方針説明会の後サプライヤへどんなフォローをしていましたか?バイヤ企業が独善的に一方的な要望という名の「妄想」を伝えるだけだったら、なんら変化せずに前年並みの取り組みが行われていたはずです。

 

「御説明した方針、どうですか?」と一言でもフォローしていたかどうか。一堂に会したサプライヤ説明会は、代わり映えしない説明内容でも拍手は得られるでしょう。日ごろの購入にお礼を述べられる機会もあるでしょう。当日のさまざまな出来事が総合的に開催した「実感」へとつながっています。当日の出来事の中には、社交辞令として行われる規定演技的内容もあります。新年度のバイヤ企業の取り組みを伝える主目的ではありません。

 

Webミーティングでは、リアルにサプライヤの上位者や担当者と直接的に声を交わす「臨場感」はありません。問われるのは2021年の取り組み内容そのものです。毎年変わらずに、コストダウンと納期短縮と品質向上をお願いしているだけでは、従来以上に聞く耳はもたれないし、2021年度開始後も話題にならないでしょう。Webミーティングでは、より戦略の内容=コンテンツが問われます。年初の説明会当日だけ、その日だけ話題にするのではなく、サプライヤの前にバイヤ自身が年間を通じてサプライヤとともに取り組んでいく内容が必要なのです。

 

新型コロナウイルス流行によってリアルな会合の開催に躊躇するのは、日本全国、いや全世界的にどこの企業でも同じですね。従来対比で制約がある中で、どのようにサプライヤとのコミュニケーションを行うかがポイントです。正解を求めるより、よりよい方法の模索が必要です。1つ確実に言えるのは、リアルにサプライヤへ説明会を開催したとき、開催後も「あのときの話だけど…」と話を蒸し返して、話を繰り返し、サプライヤにコメントを求めたかどうか。やっていなければ「この前の説明どうでした?」と感想を聞くだけでも一歩前進です。Web開催+事後フォローのスタイルでぜひやってみてください。

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