4章・(5)-1 デフレ、インフレと商売の関係
キーワード「不況」「デフレ」「インフレ」「価格下落・上昇」
・「無料」と「海外」の攻勢に日本商品は
「モノが売れない」
このようなセリフを毎日聞くようになりました。前節までに見たような「無料化」が進めばどうなるでしょうか。それまで特定のサービスを1万円で販売していた会社があったとします。それを無料で提供する競合他社があったらどうなるでしょう。もちろん、1万円のサービスは売れなくなります。「こちらのほうが、性能は良い」と喧伝したところで、やはり「タダ」という魅力に抗うことのできる人はたくさんいません。そこで、1万円を8千円、5千円、3千円……と値引いていき、もうそのサービスを販売しなくなる(あるいは倒産してしまう)会社も出てしまいます。実際に、Googleがwebサイトのアクセス解析を無料で開始したときには同様のことが起きました。あれほどの機能をもったアクセス解析が無料ならば、もう勝ち目はない、というわけです。
あるいは、無料とまではいかなくても、海外から安い商品がどんどん国内にやってくることもあります。それに対向するために、国内の会社は商品の価格を下げることで対抗し、少なからぬ数が消耗戦に陥るのです。
消費者からいえば、購入する商品が安くなるのですから喜ばしいことかもしれません。しかし、消費者であっても、国内のどこかで働いているのが普通です。価格が下落していけば、会社の売上げも下がってしまい、それが給料減という形で一人ひとりのサラリーマン(や自営業者)に重くのしかかります。これが一般的にいわれる「デフレ」というもので、多くの場合は「不況」という意味でも使われるのです。また、その逆に商品の価格がどんどん上がっていくことを「インフレ」と呼びます。