調達業務のリスクマネジメント~東日本大震災の教訓 2章(3)-13

一つ目のデュアル・マルチソース化以前の課題とは、震災に強いものづくりの実現です。世界の10%の地震が集中する日本の耐震技術は世界のトップレベルにあります。東日本大震災でも、揺れによる被害だけの地域は、震災直後であってもまったく被害がないようにも見えました。一方、震災による死亡者の94%が津波によるものでした。今後は、揺れへの備えに加えて、津波への対処をどうするかが大きな課題になります。沿岸地域で生活を営む人々をどのように津波から守るかと同じことです。

「三陸大津波」の著者である吉村昭さんによれば、地震による津波発生の可能性があるときは、まず自分の身を守るために何も持たずに逃げることをうったえています。そういった前提に立ったとき、湾岸地域の工業地帯は、まずどうやって人命を守るかを考えなければなりません。その次に事業継続に必要なインフラをどのように守っていくかを検討します。沿岸地域の立地が必要なのかどうかという根本的な点も判断しなければなりません。近い将来起こるとされる地震で、東海から紀伊半島、四国の太平洋側に位置するサプライヤーは、真剣に津波対策を行なわなければなりません。バイヤーも、そのようなリスクを抱える地域のサプライヤーには、想定された地震への具体的な対応方針の確認が必要となってくるでしょう。

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