調達業務のリスクマネジメント~東日本大震災の教訓 2章(1)-3

いっぽうでこのころから、積極的に代替部品の検討を進めた企業も多かった。大阪で機械メーカーに勤める中村敬介は、問題となっている部品を構成部品レベルにまで分解していた。重要部品だけとはいえ莫大な時間がかかっていた。しかし、部品単位ではなく、ティア単位でもなく、部品製造工程まで分離したあとに、問題となる工程をしぼり、代替案の検討が容易となった。社内設計部門に、鍛造から切削に切り替えてもう検討を依頼しはじめた。同じく、他社のバイヤーたちも、たとえば電子・電気部品の他社製品切替に奔走していた。

もちろん、そのすべてが順調だったわけではない。滋賀県の空調機器メーカーで勤務する川畑慎太郎が直面したのは、マイコンのメーカー復旧長期化・代替検討長期化の状況だった。マイコンは単品試験だけでもかなりの時間がかかる。それに完全にコンパチ(同一サイズ・同性能)のマイコンなどない。置き換え検討をするにしても、3ヶ月はかかる。市中在庫を確認し、なんとかそれで持ちこたえつつ、どうすべきかの結論はまだ出ないままでいた。

浜川の話に戻る。このころ浜川は、標準部品の少なさが震災影響を大きくしたという報道を見ることになった。欧米企業はサプライヤー標準品を使ういっぽうで、日系メーカーは独自仕様・カスタム品の調達を是とする。ニュースはそう語っていた。しかし、それは一般傾向として正しかったとしても、個別論として意味があるものではない。製品の外形を司る部位には、サプライヤー標準部品を使うことはそもそも不可能であり、それをもって日系企業サプライチェーン構造の不備といわれては不本意だ。

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