調達業務のリスクマネジメント~東日本大震災の教訓 1章(1)-13

地震発生の翌日にある会合の開催を予定していました。自分と同僚の身の安全を確保すると、翌日のことが気になりました。帰宅指示を受けて退社する直前に、翌日の会合開催を企画したメンバーに開催可否をはかるメールを発信しました。まだ被害の全貌を知るよしもない私は、中止を提案しつつ「そこまでする必要はないか」とそのメールを締めくくっています。15:05のことです。

今回首都圏では、地震発生と共に多くの地域で停電しました。しかしサーバーが稼働している多くのデータセンターは機能を失わなかったのでしょう、パソコンメールのやり取りによって、翌日の購買ネットワーク会は約1時間半後の16:32に中止を決定します。7名の幹事がメールの授受に参加し、10通のメールが行き交いました。大きく揺れたけれども、幾重にもバックアップを兼ね備えたサーバーが設置されたデータセンターは守られた証明です。

今回の震災直後、首都圏は停電の影響によりJR、私鉄共に運休していました。震災当日の11日20時の時点で、都内では2万人もの帰宅困難者を生みました。徒歩で帰宅する人、最寄りの駅で一晩過ごす場所を探す人に情報を提供したのがTwitterです。かねてより災害に強いとされていた力を実際に示した形です。

しかし、メールにしろTwitterにしろ、災害に強かったと断じるのはいささか早計です。今回繋がりづらかった携帯電話と同じく、メールやTwitterにアクセスが集中し、データ処理能力を超えた場合、同じような事態に陥る可能性は否定できません。地震の発生が予想できないのと同じで、被害状況などなおさら予測不能です。今回無事であった多くのデータセンターが、次回の震災で同じように無事である保証はないのです。

故に、安否確認を行なうには通信手段は複数持つことが必要なのです。今回の教訓をベースにすれば、スマートフォンは必要不可欠なツールですね。メール、Twitter、Skypeまで一台で対応できるモデルもあります。停電の中、どうやって充電するかも含めて予め準備をしておけば、震災後の混乱の中でも活用できそうです。しかし、原因はどうあれ、データセンターの処理能力を超え、停止してしまった場合の対処にはなっていません。今回の震災の後、企業における衛星電話の需要が急増しているそうです。一般市民としては公衆電話ですか……ということは、10円玉も準備する必要がありますね。今回の震災で、一番強かった通信手段は公衆電話、PHSやスカイプだったそうです。公衆電話は別にして、PHSやスカイプが次回の震災でも有効がどうかは未知数です。繰り返しますがどのような規模でどんな被害を受けるか、その影響は誰にもわからない。故に、通信は複数手段の確保が重要なのです。

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