5章-36:仕組み・組織体制

ただ――、忘れないほうがいいと私は思います。

私たちは、何のために仕事をしているかを。いま話しているひとたちとのふれあいは永遠には続きません。あとから振り返れば、たった一瞬のことです。社内関係者でも、取引先でも、つながる時間はほんとうに短い。その一期一会に全力をつくし、相手のために何ができるかを考えること。そして、調達品を通じて、どんな社会貢献ができるかを考えること。さらには、最終製品を通じて、社会によりよい影響をもたらすために全身全霊で働くこと。青臭いのですが、それこそが重要ではないでしょうか。

自分が他者に1円もかからないで、やれることがあります。私はいかなる宗教も信じてはいません。しかし、あえて宗教的にいえば、自分に関わるひとたちに、「いつもありがとう。感謝しています」ということです。それも、心を込めて。あなたが、ある瞬間にいう「ありがとう」は、その誰かを癒やします。

ところで、あなたは取引先の方々に「ありがとう」を伝えたことがあるでしょうか。取引上、役務の提供や物品の提供は当然だと思うばかりに、日常のお礼を語っていなくはないでしょうか。

そして同時に、せっかく、調達・購買の仕事をしているのだから、せめて、関係者から「あなたがいてくれてよかった」と思ってもらえる機会を増やしていこうとも思います。

調達・購買担当者の価値とは、コスト削減の額にあるのではなく、また、くだらないKPIで規定されるものでもありません。調達・購買担当者の価値とは、他者の心を震わせた回数で決まるのです。

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