5章-29:仕組み・組織体制

業務の移管

それで対象となった業務を、いかに移管していくかが問題となります。つまり、あるひとがやっていた仕事を、もう外部に任せてしまうわけです。そうすると、異常な拒否反応が起きます。考えてもわかるとおり、自分がこれまでやっていた仕事を放棄するわけですから、拒否反応が起きて当然です。

だから必然的に、調達・購買業務が行おうとする、業務過多の調整は、もともと反自然なことなのです。人間の本来の、自分の業務を守りたいという本能からは反しています。だから、反感を買うのは必然です。

そのときに有効なのは、やはり「見える化」です。現在の人員にたいして、実際の業務がどれくらいかを示すのです。

グラフには破線が二つあります。これが横軸で、必要人員数を指します。うねっている破線が、実際の月あたりの業務から見た必要人員数です。そして、まっすぐ伸びている破線が12ヶ月の平均をさします。業務時間分析をしていれば、このようなグラフを作成できるはずです。さらに、実践はその業務にかかる時間を指しています。

なお、この例でいえば、部門には二人の業務担当者がいました。グラフを見ると、この部門では、11月と3月に業務のピークを迎えます。おそらく、年末処理と年度末処理があるからでしょうか。しかし、逆にいえば、この場合、二人工が必要なのは、そのタイミングしかありません。その他の月は、一人いればじゅうぶんとわかります。

あくまでも一例ですが、たとえば一人を削減したのちに、繁忙期にのみ他拠点からの支援などを検討してはどうでしょうか。そして、削減した一人は、他の付加価値業務に従業していく。すくなくとも、理論上は二人分の業務量ではないとわかったのですから、どのような業務に従業しているのかは調査が必要でしょう。

調達・購買業務とは、環境にあわせて変わり続けることが重要です。ですから、可能な限り、流動的に業務をまわすことが求められます。停滞こそが、この業務における最大の敵といってもかまいません。

決まったことを死守するのも尊い考え方です。しかし、同時に、都度、状況を見ながら臨機応変に変容していくことも重要です。

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