5章-24:仕組み・組織体制

メールと会議は悪習か

とはいえ、業務改善の一例もお話しておきます。

以前、某社の調達・購買部門にコンサルタントとして入っていたころ、業務分析を依頼されました。驚いたのは、その業務分析を重ねると、ほとんどの時間がメール、会議に費やされていたことです。とするならば、業務改革は、このメールと会議をどうするかにかかっていると断言できます。

さらに見ていくと、メールは次のような特徴がありました。正直、返信してもしなくても、企業や組織の運営に関係がないものに時間が費やされていました。もちろん丁寧に返信することが人間関係構築に重要だとは思います。しかし、意外に返信をしなくても、あるいは丁寧に返信しなくても、結果は変わらない場合も多いはずです。

そして、もう一つは、苦情に対応するメールは、相当な時間がかかっていたことです。あるいは、クレームにたいし細部を述べながら書いていくと、膨大な時間が費やされていました。私は電話使用に反対の立場ですが、ときには、さっと事情を電話で説明したのちに、簡単にメールで確認をしておくほうがスムーズかもしれません。

次に会議は、少なからぬ場合、意見をまったく述べないひとや、あるいは主催者側もサイコロを振るようになんら意図をもっていない場合が多すぎるようです。この会議については、この節の最後に解決策とともに、ふたたび述べます。

しかし、私が面白かったのは、メールと会議が意外な結果かというと、そうではないかった点です。むしろ、「ああ、そうだよね」という反応なのです。つまり、誰も、時間を浪費していると思っているものの、それでも既存の業務をやり続けていました。まさに慣性の法則です。それに楔を打ち込むひとがいなければなりません。

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