4章-23:取引先管理

ところで、この章では冒頭で、目の前のことしか考えずにちゃんとやることの重要性をお話しました。しかし、そのような話をすると、多くの方からは、「モチベーションがない」と聞かされます。

多くの人のモチベーションが下がっている時代だといいます。しかし、です。

それほどまでに、仕事にモチベーションなどは必要だろうか、と私は思います。だって、これは仕事ですからね。仕事にモチベーションはいらない、と私は繰り返しいってきました。モチベーションなどなくても、淡々と物事をこなすことこそ、ほんとうのプロに第一に求められるものではないでしょうか。

仕事には愛が必要だといいます。しかし、愛とは、自分の思い込みにより対象を純化させるプロセスであると疑ったほうがいいでしょう。思いを包摂することによって、対象を、ほんとうの価値以上に信じ込むことを愛といいます。それは決して悪いことではありません。むしろ、その意味での「思い込み」は人間にとって必要不可欠ともいえます。

しかし、その思い込みが強すぎるがゆえに、ひとはときに大きく失望します。これまで信じていた会社、これまで信じていた組織が、ちょっとでも方向を変えると、裏切られたような気がするのでしょう。ただ、それでも仕事をやらねばなりません。愛がなくなったとしても、仕事は目の前にあります。

どんなに仕事への情熱や愛があったとしても、仕事がなければおしまいです。だから、つべこべいわずに、目の前の仕事をしろよ、と私は思うのです。

どんなに不遇にあっても、どんなに最低な状況であっても、仕事があるということそのものが素晴らしいという事実に気づかねばなりません。

調達・購買の仕事は究極的な意味でくだらないかもしれません。ただ、「だからこそ」と、自分の意識を転換できるかにかかっています。

私は、モチベーションとか愛とかいうものを否定したいわけではありません。ただ、みんな、仕事に幻想を抱きすぎだと、私は思うことがあります。仕事に愛やモチベーションがあろうがなかろうが、とにかく真面目にやるだけです。工夫を重ね、なんとか、昨日より優れた仕事を重ねるように努力するだけです。

存在するのは目の前の仕事だけです。「自分さがし」ではなく、「自分なくし」こそ重要なのではないでしょうか。もう愚痴なんて止めて、さっさと目の前の仕事にとりかかりましょう。モチベーションや夢や理想より、目の前のことに注力しましょう。

そして、この態度こそが、逆説的に調達・購買業務を面白くさせるコツだと私は思うのです。

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