2章-5:インフラ系調達・購買のコスト分析

ABC分析

ここで、最終的に作成したいグラフはこのようなものです。

支出金額の大きいものを左から順に並べていきます。そして、それらの累積が全体の何割を占めるかを折れ線グラフで表現します。これによって、全体の「数」でいう何割が、全体の「金額」何割を占めるかを視覚的に確認できます。多くの場合は数の2割が、全体の金額の8割を占めます。

さて、作成のときに実務的な二つの問題が生じます。問題と施策の方向性を記します。

  • そもそも分類できない問題です。データベースがめちゃくちゃなので、そもそも一つひとつにラベリングできない状況にあります。正確には、ラベリングできても、一つひとつを見ていっては、膨大な時間がかかるのです。
    これに絶対的な答えはありません。データの整形を外部に委託するのも一手です(施策1)。しかし、その際にも、どう分類するかの指示を出さねばなりません。ですので、その指示を出せれば、そもそも外部に委託する必然性は高くありません。
    そこでおすすめするのが、エクセルでフィルターを使う方法です(施策2)。エクセルのフィルター機能では、文字列の条件にあう行だけを抽出してくれます。かなり地味な作業になりますが発注内容をフィルタリングし「平鋼」「ヒラコウ」……な、ど考えられるキーワードで検索してください。また、製品名称や型番、仕様などでも検索できます。あるいは、フィルターの「詳細設定」から別シートに抽出できます。
    ここで重要なのは、どのようなキーワードで抽出したかを、かならず記録しておくことです。ABC分析は一度やって終わりではなく、半期ごと、毎期ごと、数年ごとに繰り返します。したがって、そのときには機械的に実施できるようにします。
  • 次の問題はラベリングの細さです。さすがに、モノとヒトとわけるだけでは何の意味もありません。しかし、モノの場合、「鉄鋼」とするのか、小分類の「平鋼」「等辺山形鋼」「H形鋼」……にわけるかが悩ましい問題です。小分類がふさわしい気もするものの、「平鋼」等であればまだしも、ごくまれにしか買わないものを一つひとつ分類するわけにもいかず、多数が「その他」という小分類になる場合があります。
    これにも絶対的な答えがありません。
    しかし、あえていえば、まずは中分類(この例でいえば「鉄鋼」)でわけてください。ここでの趣旨は、いきなり細かな分類をするのではなく、ざくっと全体の状況を見て、どこに注力すべきかを知ることにあります。いきなり細部にはいって何もできないよりも、まずは概要を把握する必要があります。
    たとえば、重電の領域で、中分類「電源」とわけても、その電源が細分化しており、「電源」だけでは、さほど意味のないカテゴライズかもしれません。でも、それでいいのです。あくまでも機能としての「電源」が重要であるとわかるのですから。

 

そこでABC分析をすると、重み付けがわかります。当然ながら、調達金額が大きい品目ほど注力すべきです。実際にABC分析をすると、それでもなお、「その他」がもっとも多くなるかもしれません。その場合は、「その他」を除いて棒グラフをたててください。

まずは品目で分類したあとに、取引先でのABC分析にいたります。

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