2章-6:インフラ系調達・購買のコスト分析
(2)取引先別支出分析
さきほどのABC分析が品目軸での分析にたいして、取引先ごとの支出金額で並べるものを取引先別支出分析と呼びます。やることは、品目軸が取引先軸になるだけですから、さほど大きな違いはありません。サプライヤ別のABC分析ともいえます。
品目と取引先の二軸で分析すれば、次に、寡占分析も可能となります。これは、たとえばそれぞれの物品や外注業務の種類ごとに、上位8割を占めるのは何社かを見える化するものです。
かならずしも寡占が良くないかどうかは置いておいて、数社のみが上位を占めているのか、あるいは、複数社の競合状態にあるのかを確認できます。しかしこれは重要な分析です。というのも、たしかにすぐれた取引先であっても、かならず安穏とする罠があるからです。つまり、自分たちにしか注文が来ないと思うと、かならず手抜きが生じます。この手抜きの意味は、重大事故が起きる意味では必ずしもありません。価格が下がりにくくなったり、あるいは、品質が低下したりすることもあります。すべての改善源泉は、競争状態にあります。