1章-1:インフラ系調達・購買の基礎知識
現場を襲う虚無感
あのときの感情をどう表現したらいいでしょうか。
私が、コンサルティングで某社にはいったときのことです。多くの会社からは、最初に、コンサルティングのメンバーだけではなく、全部員にたいして、キックオフの講演をするように頼まれます。
そのとき、私はいつものとおり、これまで自分がいかに調達・購買業務に命を賭してきたかを話します。新人のときに考えたこと、社内での葛藤、障害、制約、そしてどのように涙を流しながら改善しようと試みてきたか――。
しかし、ほとんど反応がないのです。もちろん日本人ですから、立って拍手をしてくれたり、大きなアクションをしてくれたり、という意味ではありません。聴いてくれているひとが、真剣に聴いてくれたり、笑顔になってくれ目を合わせてくれたり、という反応は手に取るようにわかります。ただ、その組織では、「はいはい、また部長がくだらない取り組みをはじめたのね」という雰囲気に充満していました。誰もがうつろで、停滞感にあふれ、そして、やるだけ無駄だ、という無言の空気に私は押し潰れそうになりました。
私は、勇気を出して、訊いてみました。「どうも、私は歓迎されていないように感じます。歓迎されていると思っていいでしょうか」。そのときの、その場の、無言は、どのように表現するべきでしょうか。