5-(6)-2 バイヤーのタイプ別活躍方法
黒板で私はバイヤーのタイプを次の四つに分類しました。
- 職人バイヤータイプ
- 調達マネージャータイプ
- 調達リーダータイプ
- 開発購買タイプ
同じ調達・購買職の中でも、おのおのがやっていて「愉しい」と感じる場面があるはずです。「仕事をやっていて愉しいと思ったことがない」などと言う甘えた阿呆は、この本の読者には存在しないという前提でこの先を続けますね。
パソコンを担当しているバイヤーには、パソコンが大好きで専門誌をたくさん買い、自身も自作を組み立てたり、サプライヤーと調達の話よりもずっとオタクな話ばかりしていたりする人がいます。と思えば、自分の担当製品にはほとんど興味がなく、どちらかと言えば、例えば納期や価格条件などの社内外調整を上手くやることに仕事の喜びを感じている人も多い。また、目立つのが大好きなのか(決して皮肉ではありません)、調達プロジェクトの旗振り役になって、様々なプレゼン資料を皆にPRしている人もいます。
日本の会社とは面白いもので、業務内容がそれほど明確になっていない分、好き勝手にやれる領域が多いのですよね。誰がやるのかはっきりしない仕事もたくさん転がっていますから、仕事はいくらでもできます。例えばあなたがコネクターの担当バイヤーだったとします。価格を決定して発注する、という業務だけでも良いのですが、社内をぶらついてコネクターに詳しい設計者にレクチャーを受けることもできるでしょう。サプライヤーを呼んでコネクターのイロハを教えてもらうことだってできるはずです。または、調達するコネクターの規格を統一しようと設計部門とプロジェクトを立ち上げることだってできます。海外のサプライヤーの調査に行くことだってできるでしょう。日本企業は不自由に見えて、実はこういう自由な領域がたくさんありますから、おのずと各バイヤーの特性がにじんでくるはずです。
もちろん、四つで完全に分類できたと思っているわけではありません。ただし、各人に傾向はあります。その傾向をまずは把握すること。自分が得意で愉しいと思えることを探し、それゆえの長所と短所を知っておくこと。黒板の表を見て「これは違う」と思っていただいてもかまいません。自己を考えるきっかけになれば、それに越したことはありません。サプライヤーや社内を知るよりも、まずは自分を知ることなしには始まりませんから。