3-(3)-1 調達・購買を強くする四つの力
・調達力・購買力を形作る四つの力
調達力・購買力のある組織(個人)に見られるのは、四つの力です。
1.問題解決力
目の前の問題を解消できる能力
2.課題達成力
理想の調達像に近づける能力
3.フレーズ力
周囲に自己の目標を植えつける能力
4.危機感醸成力
不安を創造し、改革を促す能力
調達・購買ロードマップにおける各力の作用
それぞれの力は、各段階において、有効に作用していきます。そして相互が影響しあい、より強い調達・購買力を創出していきます。
問題解決力は「あるべき調達」へ、課題解決力は「ありたい調達」へ、フレーズ力は「革新調達」の促進剤となり、危機感醸成力は各ステップを加速させる増進剤として、それぞれ作用してするのです。
強い調達力・購買力を持つ組織や個人を見ると、四つの力に支えられています。
1.問題解決力
2.課題達成力
3.フレーズ力
4.危機感醸成力
1.は文字通り、目の前の問題をつぶして改善していく力。2.も文字通り、現状を打破するために課題を達成していく力。この二つは折に触れて説明していきます。
3.は自社・自分の目標や目的を一言で表現する力のことです。二言ではいけません。調達・購買を通じて、自分は何をしたいのか、というメッセージを一言にこめることです。
トヨタ自動車が「CCC21(Construction of Cost Competitiveness)」と言ったとき、それは瞬く間にサプライヤーの間の共通語となりました。何かと、サプライヤー間での話題に上り、流行語といっても良かったほどです。
これからはサプライヤーと一体になった活動・チャレンジで、これまでの枠にとらわれない大幅なコスト低減を実行する。それも本気で。これに真剣についてきたいサプライヤーは集まれ。こういう強く・印象的なフレーズをつけた時点で、その成功はほぼ約束されました。
そのフレーズが繰り返し使用されることで、関係者全員の間で日常化し、頭の中に刷り込まれます。関係者全員の合言葉になり、その活動が共有化されるとき、将来像が合致するのです。どこに向かっていけば良いかが全員一致したとき、「何をすべきか」は自動的に決定します。
これは、組織だけに限りません。個人でも同様です。一人のバイヤーとして何をしたいのか、どこを目指すのか。「この人といえば、この一言」といえることが重要です。だらだら言ってもサプライヤーの頭には残りません。
分かりやすく、印象的に。「○億円くらいのコスト削減をやりたいと思っています。集約された数のサプライヤーで、それで……できれば3年以内に……」ではダメなのです。それだったら、「3億円のコスト低減を、サプライヤーの3社集約により、3年で! 名付けて『Triple3作戦』」なんて、恥ずかしげもなくブチあげてしまった方が良いのです。それが印象的なほど、営業マンは社内に帰ったら伝えます。上司に、同僚に。そうやって、どんどん広めていくのです。