3-(1)-1  調達・購買の現状把握

・調達・購買の強い企業の秘密

まずは、自社(自分)の現状把握をするところから始めます。

調達・購買力がない企業は生き残れません。

有名な企業を思いうかべてください。その企業の強さを特徴づける大きな要素は、調達・購買力です。

他社が100万円で買っているところを、80万円で買うことができる。他社が納期遅延で奔走している一方で、確実な納入により生産安定に寄与している。他社が品質トラブルで不毛な言い争いをしているときに、品質の良い製品をお客に提供し喜ばれている。

調達・購買力の強さ弱さが企業の競争力に与える影響を考えてみれば、そこに注力するのは当然のことです。これからの企業の最重要テーマは、調達・購買能力の開発と言っても過言ではありません。

 

もちろん、一足先にそのことに気づいて、調達・購買の強化に動き出した企業もあります。しかし、その全て成功しているかというと、そんなことはありません。また、高度調達概念を説く本を買って勉強するバイヤーも多くなってきました。しかし、これも同様に、それらの本を読んだからといって、すぐに実務に良い影響が出たかというと、残念ながらそのようなことは多くないようです。

イー・アールエフエックス、LCCソーシング、コストドライバーアナリシスやビジネスプロセスリエンジニアリングに、プロダクトライフサイクルマネジメント……。高度な概念は、知っているだけで一段階高みに上がったような錯覚を持たせてくれます。

しかし、私が思うにこんなものだけ知っていても、何の役にも立ちません。これまでの調達・購買の専門書の決定的な欠如は、実践者の現状分析なのです

ただでさえ納期管理がボロボロで、通常の納入日程すら遵守させることができていない組織に、JIT(Just In Time)を勧めても仕方がないのです。通常の価格査定すらできていないバイヤーに、コストドライバーアナリシスを教えても意味がありません。

 

調達・購買力のある企業の方々と話していて強く感じるのは、自分の位置づけについて冷静に把握しているな、ということです。トップを走りながら、自分を改善しようとしていくことは楽ではありません。自分の位置づけを、常に否定しながら、より良い姿を模索していかねばならないからです。しかし、それでもやっている。いや、自分の位置づけを把握することさえできれば、やるべきことが理解できると言っても良いかもしれません。風邪だとわかれば風邪薬を飲み、胃痛だと分かれば胃腸薬を飲むように。それは、自動的です。

バイヤーは多忙ゆえ、どうしても目の前の仕事にかかりっきりになってしまいます。これでは、次のステップに進むことはできません。それは、自分の立ち位置と目標を持つことから始まります。

位置づけについて理解するためには、私の言葉の定義を理解していただかねばなりません。それは簡単で、この定義づけさえしていただければ、すっきりと整理ができます。言葉をあてはめることによって、一瞬で見えなかったことが見えてきます。言葉で定義してみましょう。この定義づけ・分類こそが、調達・購買部門が強い企業の秘密なのです。

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