7章5-2<コラム~「本当はこんなに大事な調達・購買」>

・資材調達をとりまく三つのトレンド

調達・購買に関わるひとが単なる交渉屋ではなく、プロフェッショナルであることを求められている証左として次のような三つの調達・購買トレンドが出てきました。

 

①プライスからコストへの変化

②戦略的癒着関係への脱皮

③手間暇調達から能力調達への移行

 

①プライスからコストへの変化:これまでの調達・購買の役割は、とにかく交渉で価格さえ下げればよく、その際に最も必要とされていたのは交渉力でした。しかし、現在必要とされているのは、コストを正確に見るための深い製品知識と工程知識であり、加えて、サプライヤがいかなるメカニズムで見積書を作成するかまでをも把握した原価計算スキルも求められます。単なる買い叩きでは、サプライヤも価格を下げ続けることはできません。工程変更や仕様変更によるコストダウンをサプライヤとともに推進する必要があります。

②戦略的癒着関係への脱皮:多数の企業と取引を継続するのではなく、将来的な戦略を共有できる本命企業とのみ、集中した取引を実施することが重要視されています。サプライヤと戦略的癒着関係を構築するには、相手先の財務能力、開発・設備能力、将来の企業価値を正確に判断する能力が必要になります。

③手間暇調達から能力調達への移行:サプライヤを単なる外注先とみなすのではなく、すぐれた部品設計力を提供してくれる対等なパートナーとみなさなければなりません。それはその「一緒に共生するパートナー」を見つける目を持つことでもあります。

これからは、調達・購買部門みずから積極的に動き、同業他社の動向に目をやり、世界的な風潮に敏感となり、新たな技術のトレンドを知り、自社が必要としている外部の叡智を吹き込まねばなりません。

 

・調達・購買がますます重要になる時代

世界的な不況の現在とは、すなわち調達・購買の時代でもあります。調達・購買力の弱さによる相対的なコスト高は、好景気ならば売上高の伸びによってなおざりにされがちですが、しかし、売上高が落ち込む一方の不景気では、そうはいっていられません。対外支出のよりいっそうの厳格な管理が、生き残りの条件といえるほどまでになっています。日本ではまだメジャーではないものの、CPO(Chief Procurement Officer~調達担当役員)を設置する企業が出てきました。企業全体の外部支出の価格が適切であることを保証し、株主への説明責任を果たし、企業価値を高めようとするものです。CISCOやIBMなど、高利益・優良企業が多く設置しています。CPOを設置しているかどうかが、企業のコスト感度を測る一つのキーとなります。

「お金を使う社員」として調達・購買部門を説明するところから、当コラムを書き起こしました。お金とは人と人をつなぐ「媒介」物です。では、「媒介=メディア」とは何か。それは、社会学者のマーシャル・マクルーハンの言葉を借りるならば、「メッセージ」です。「自社は、外部に支払う金額はこう査定する」「自社は、このようなサプライヤと将来にわたって真剣に付きあう」「自社は、サプライヤにこのような業務と依頼したい」……。「お金を使う社員」としての調達・購買部門とは、お金というメディアを用いて、社内外に自社の理念や意思をメッセージとして伝播させ、社内外を変えていく存在だといえます。

「本当はこんなに大事な調達・購買」――そう、調達・購買は、「モノを買う」こと以上の意味を持ち始めているのです。

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