調達原論2【19回目一歩進んだ調達業務改善】文系バイヤーの工場視察論

調達・購買担当者が工場に行く。すると、「ええと5Sはしっかりできていますね」といったことしか話せない。つまり、技術的なことがわからないので、コメントしようがないのだ。ただ、ここはシンプルに考えたい。

工場とは材料という変動費を投入し、そして設備や作業者などの固定費を使い、最終製品を生産する=付加価値をつける場所だ。私が好きなのは、「工場は見えない固定費の雨が降っている」という言葉だ。材料が最終製品に化けるといったが、1分で化けるのか、1時間で化けるのか、1日で化けるのかで、その材料にあたる雨の量=コストが異なる。当然、早く・速く完成したら雨の量は減る。だから、単純な見方は、製品の出来上がるまでのリードタイムが他サプライヤよりも短いかだ。

私の師匠は、迷ったら材料投入から出荷までを歩いて、その長さを他社と比較しろといった。そして工場作業者がゆっくり歩いていないか。歩く速度の遅さは、そのまま雨の量増加につながる。

たとえば、図で第3工程の仕事を、第2工程と第4工程でわけあって、第3工程の作業者がいなくなったらコストは下がるか。けっきょく、雨の例でいえば、その作業者が他の付加価値業務に従業できるかがキーとなり、その作業者が遊んでいたら雨雲の量は不変だ。

もちろん作業者が減ったら、実際のコストはどうであれ、見積価格を下げるように交渉は可能だろう。しかし、現在では、経営体質も強化してもらいつつ、コストも下げてもらわねばならない。

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