調達原論【9回目】ABC分析
年間の注文データがたまると、次期以降の戦略を考える材料となる。戦略的にコスト削減や品質向上のために取り組むべきか。その分類に使えるのがABC分析だ。これは重み付け分析とも呼ばれ、文字通り重点品目を教えてくれる。
手順としては、年間の支出金額を品目単位で並べる。そして、支出金額全体に占める比率を累積していくものだ。そうすると、上位品目が総額の何割を占めるか「見える化」できる。経験則では次のような結果になる。
- 品目数20%で総支出金額の80%を占める
- 品目数30%で総支出金額の17%を占める
- 品目数50%で総支出金額の3%を占める
そして、多くの場合、上位から調達戦略を構築し、実施に努める。
また、さらに上位20%のうちで優先順位をつける場合がある。その際には、「競争環境」「頻度」の二軸で分析する。前者はすなわち、コスト削減が可能な競争環境があるか。一社独占ではなく、複数のサプライヤが存在するか。後者は、ここ近年コスト削減の取り組みをおこなったか。交渉を実施しているか。
つまり、競争環境はあるにもかかわらず、価格交渉をほとんど実施してこなかった品目は成果が期待できる。逆に寡占や独占が進み、毎年のように価格交渉している品目は成果が出にくいだろう。
その場合、短期的に取り組む品目と、中長期的に取り組む品目をわけたほうが良い。やってはいけないのは、コストが下がりそう、という直観で対象品目を決めることだ。家計とおなじく支出最大品目から「攻め」なくてはならない。