4章-5 モチベーションゼロの仕事術

また、オフィスであれば、椅子に座りながらであってもこの呼吸によって準備を整えることはできる。ただ、もし立ちあがることができるのであれば、次の方法を試してみよう。

まず、かかとに重心をおいて呼吸をしてほしい。同じく、極限まで空気を吸っては、限界を超えて吸い、さらにその限界を超えて吸う。その次に、かかとではなく、足の指に力を入れて吸ってほしい。

姿勢が前かがみになるはずで、このときの呼吸は、かかとに力を入れてのけぞっていたときよりもやりやすくなっているはずだ。これはお腹と胸が空気を吸いやすい体勢が前かがみの姿勢になった状態だからだ。始業前や休み時間に立ちあがることができるのであれば、少し前傾姿勢で呼吸をすることが効果的だ。

ところで、外国人の迫力のある饒舌なスピーチを見ているときに、演台に手を置いて前かがみになった状態を思い出せないだろうか。あの姿勢は、前述の呼吸法を応用したものだといわれる。前かがみで息をたくさん吸い込むほうが、腹式呼吸によって声を通す効果があるばかりではなく、緊張せずに講演を成功させる秘訣だったというわけだ。

呼吸法を練習していると、面白い自分を発見する。パソコンの電源を入れると、深い呼吸をなんどか繰り返す。それも、お腹を極限まで大きくして目をつむりながら必死で。お腹のなかの風船を押しつぶし、息を長く吐き続ける。そうすると、いつの間にか、前日に届いた読者からの批判メールや、理不尽な叱責、いざこざなども、もちろん完全ではないものの自分のなかでの比重が小さくなり、「それでも仕事をたんたんとやるか」と決意している自分がいる。

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