3章-3 モチベーションゼロの仕事術

いっぽうで下のほうも見ておこう。

  • 身長・165cm、体重・63Kg
  • 年収・600万円で、預金は娘の大学進学時になくなった。娘は25歳だが、派遣社員として働いている。
  • 自宅・中野から自転車で15分かかる一軒家。ただし、ローンがまだ15年も残っており、処理を検討中
  • 読書・司馬遼太郎、宮部みゆき
  • 趣味・仕事、焼酎、娘

 

私が下を見た時は、下が汗だくになって工場作業着を脱いでいるところであった。特別の事情のない限り、私はついに下を見逃したかも知れなかった。それほど下の会社が混雑していたからである。

私はその数日前に下から、これも上と同じく、私の本を読んだとかで面談依頼があった。コンサルタントとして面談を希望されるのは日常茶飯事だ。ただ、依頼時のその無意味なほどの長文が、下の人間性を示していた。

下は「名前さえ書ければ受かる」といわれていた大学の商学部出身だった。大学4年の夏、大学の就職課に貼ってあった機械メーカーに応募したところ「一緒に世界で活躍しよう」と熱く語る社長の一言にコロっといってしまったのだ。

私は下の人間性(不器用さとも呼ぶ)にいたく興味をもち、下の生活をも聞くにいたった。

上が銀座で飲んでいるとき、下はどこで飲んでいるのだろうか。部下と飲むのは、新橋のガード下が多いようだった。いつも、「お前、夢はなんなんだ?」と部下に訊いているという。「夢」とはのキーワードなので、覚えておく必要がある

下は、部下に「このままじゃ、会社の歯車になるだけだゾ!」と叱ることもよくあるようだ。下の特徴として部下の人生観にまで踏み込む習性がある。「ああ、ウチだって大変な状況なんだ。キミみたいな若い社員が変えていってくれないと……」。下はホッピーを飲みながら繰り返す。「その仕事のやり方が問題じゃないんだッ! 結局は、お前が、その仕事をやりたいかやりたくないかが問題なんだッ!」。

無料で最強の調達・購買教材を提供していますのでご覧ください

あわせて読みたい