3章-2 モチベーションゼロの仕事術

上は若手社員よりもヒット曲に詳しく、その軽やかさでキャバクラ嬢にモテることを得意としていた。しかも、遊びが得意であるため、西洋絵画や歌舞伎の世界にも造詣が深く、なぜだか部下が尊敬してしまうのだ。

  • 身長・173cm、体重・68Kg
  • 年収・1800万円で、5250万円の預金がある。娘は22歳。
  • 自宅・四谷に買った3LDKのマンション
  • 読書・村上春樹、日経ビジネス
  • 趣味・登山、日本酒、旅行

 

上は「仕事はやる気じゃないよ、技術だよ」といつものように部下に笑いながら話していた。「夢を追いかけたって、つまんないよ。それよりも目の前にいる仕事関係者を喜ばせたほうが、ありがたがられるよ」。「モチベーションがないなんて当たり前さ。俺なんて、一度も持ったことないよ。モチベーションがないといけないっていう甘えは、中途半端に仕事に幻想を抱いているんじゃないかな」。私が思うに上は偽悪的に演じているようだった。ただ、そう言い切る上の姿はたしかに一人の仕事人だった。

上は、部下と取引先の工場に出向くときにも、持ち前の要領の良さを発揮する。移動中に部下から見せてもらった取引先情報を、さも昔から知っていたかのように取引先の工場長に向かって話し、しかもそれっぽい問題点も指摘するのだ。

しかも、日本酒の銘柄に詳しいという特徴を持っていて、銀座の寿司屋「鰤門(しもん)」では、一杯2500円もする銀盤(ぎんばん)を部下の課長に勧めていた。さらに、この上は近場もタクシーで移動するという必殺技によって、酒席で一緒した私すらも手玉にとってしまうのだ。

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