とんでもない詐欺話に巻き込まれそうになった話
普通の会社員であれば、なかなか詐欺師に会う機会は少ないかもしれません。しかし、起業して働いていると、知人の紹介等で詐欺師に出会います。
よく「詐欺師は普通の人と見分けがつかない」「詐欺師はちゃんとしているように見える」といわれます。これは半分は正しく、半分は間違っています。
以前、ある知人からAさんを紹介されました。たぶん50代で、髪の毛がきっちり整えられており、黒を基調とした身なりで、カフスボタンをつけていました。話し口調も、どちらかというと、礼儀正しく、落ち着いており、言葉遣いも洗練されていました。
彼から提案されたスキームは次のとおりです。
・節税したい会社は、たくさんある。ただ、節税はしたいが、現金を減らしたいわけではない
・そこで、節税したい会社から、あなたの会社に1億円を払います
・内容は、コスト削減のプロジェクト委託費として払います
・たとえば、2億円を削減できるのであれば、1億円を払う合理性はあるはずです
(注):コスト削減を請け負うコンサルティング会社は、削減額の3割を業務委託費として受け取るのが通例です。つまり、年間3億円のコストを減らした場合、約1億円を受け取るのです。したがって、上記の提案額は荒唐無稽なものではありません。
彼の提案は続きます。
・ただ、あなたの会社は何もする必要はありません
・何もしなくていいので、来年に9000万円を返金してくれればいいのです
・節税したい会社からすれば、本来、1億円の39%に税金がかかりますので、約3900万円が出ていってしまうところ、1000万円で済むことになります
・その差額の1000万円はあなたの利益です
・つまり、何をしなくても、1000万円があなたに転がり込みます
このようなものでした。
確認をすると、たとえば、ほんとうにコスト削減のプロジェクトを請負ったとして、さらに提案書や実行計画書、コスト削減手法対象品目とスケジュールチャートなどがあれば良いらしい。また、そこまで用意して、実際にプロジェクトが頓挫し、返金するケースもあるのですから、合法といいます。
「提案額は荒唐無稽なものではありません」と書きました。実際に、詐欺師は、ありうるギリギリの線を狙ってくるので、騙されるひとがいるのです。
当然ながら私はこの話に乗りませんでした。
そこで私が浮かんだ疑問を書いておきます。この疑問の回答について、私なりに思いつきましたが、あえて疑問だけ書いておきます。
Q1.そもそも、そんなに儲かる話であれば、初対面の私に紹介するはずはない
Q2.なぜ彼の会社で実行しないのか
Q3.そもそも、このスキームを紹介することで彼が儲かる手段はなにか
Q4.知らない人の会社に1億円を預けるリスクを負える会社などあるのか
……etc
さらに事実だけ書いておきます。
・私の周囲に、この詐欺師の話に乗った人がいます。
・その詐欺師は、スキームを実行する前に、連絡が取れなくなりました(取れなくなったようです)
・もらった名刺の電話番号に、私は電話をかけてみましたが、ずっとベルが鳴り響きました