6-13 変貌する交渉準備~AI(人工知能)を活用した価格査定を活用する

交渉とは、実践前の「準備」によって結果が大きく左右されます。従来の準備に加えAI(人工知能)を活用した妥当性を見極める価格査定手法を導入し、査定手法の複線化を実現します。

☆「査定手法の複線化」とは

バイヤーはサプライヤーから提示された見積金額の妥当性を確認するため、さまざまな価格査定手法を駆使し、妥当性ある購入価格を見極めます。しかし価格査定を高い精度で行うには相応の時間が必要です。

交渉でも、毎回同じ査定手法では、サプライヤーに手の内を読まれ、円滑な交渉が危ぶまれる可能性も高まります。交渉準備における価格査定は複数の手法を駆使し、背景や目標を踏まえた実践が望ましい姿です。したがってバイヤーはできるだけ短時間に複数の査定手法を駆使した結果が必要なのです。

☆AI(人工知能)を駆使した価格査定

近年ビジネスのあらゆる場面で活用が広がるAI(人工知能)。私たちの日常生活でもAIを活用したサービスが多数登場しています。調達購買業務でも、交渉準備に欠かせない価格査定に活用可能です。

価格査定を行うには、仕様書や図面、レシピに記載された数値と、見積金額や購入金額といった金額をデータとして蓄積しているはずです。そういったデータの蓄積と、無料サイトからダウンロードしたAIを活用するためのプログラミングやアルゴリズムを使えば、すぐにAIによる価格査定が可能です。

☆AI(人工知能)による価格査定活用の注意点

AI(人工知能)は、価格査定だけではなく、サプライヤーの財務分析にも活用できるツールです。しかしAIによって導かれた査定結果は「なぜそうなったのか」の説明ができない点が、実務活用上の最大の問題です。実際にプログラムやアルゴリズムをダウンロードし価格査定を実行し、ある価格を導き出したと仮定します。その価格の根拠は「AIの分析結果」です。はたしてこの理由でサプライヤーや上司、社内の関連部門が納得するでしょうか。AIによる価格査定の問題点は、なぜそうなるのかを明確に説明できない点にあります。

コストテーブルとして蓄積したデータをAIに読み込ませ、新たな購入条件を設定すると価格が算出できます。調達購買部門でAIを活用しても、他人を説得するための論理性は自ら考え導きだす取り組みが必要です。有効なツールであり、可能性は秘めているものの、調達購買の現場で使いこなすには、バイヤーの創意工夫が欠かせないのです。(牧野直哉)

AIを調達購買業務する具体的な方法は、次のURLからダウンロードできます

http://www.future-procurement.com/booklet/aiprocurement/

「【報告書】機械学習を使った調達業務の価格査定について」坂口孝則著

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