6-9高く買わない方法 ~市場価格情報活用法

原材料は広く一般に伝わる「市場価格」があります。市場価格変動は購入価格に大きな影響を与えます。市場価格が購入価格に影響を与えるプロセスを理解して、適正な購買価格の実現を目指します。

☆市場価格が購入価格に影響するプロセス

まず購入品に含まれるコスト要素の中で、大きな割合を占める原材料の有無を確認し市場価格の影響を受ける原材料を特定します。

次に特定された原材料の市場価格情報を入手します。サプライヤーから価格見直し要求には、根拠となる原材料名や使用量、価格の情報源を求めます。インターネットの情報源はさまざまな市場取引による指標です。サプライヤーは市場価格通りには購入していません。問屋や商社を経由サプライヤーの希望にそった条件で納められています。したがって一般的に広く伝わっている原材料の価格に比べ、サプライヤーの購入価格は原材料以外のコスト要素が含まれています。したがってインターネットから入手できる価格情報そのものは利用せず、変動幅やトレンドだけを参照するようにします。

☆変動幅の「基準点」を明確にする

価格見直し依頼があった場合、どの時点の原材料価格が基準点となるのか明確にします。市場価格の変動ですから、高値の時期もあれば安値の時期もあります。変動幅は基準点によって大きく異なります。購入実績はできるだけ過去のデータも準備します。サプライヤーにだけ都合の良い変動幅の設定は回避します。

☆見直し時期を決定する

サプライヤーに不利な原材料価格の値上げは、見直し要求が行われます。しかし原材料価格が下がった場合、バイヤー企業側から見直しを要求します。

原材料価格の変動は安定した購入コスト実現の観点ではリスク要因です。しかし原材料価格変動を調達購買部門で抑制するのは困難です。価格変動を抑制するアクションより、価格変動が激しい原材料の使用量を減らしたり、歩留まりを向上させたり、より価格の安定した原材料へ変更したり、といったコスト削減の王道とも言える取り組みが、長期的には大きなメリットを生み出すのです。(牧野直哉)

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