新調達様式と「薄毛」対策商品が売れるワケ

先日、面白いデータを見ました。コロナ禍における、商品のPOSデータです。POSとは、各商品の売れ行きを示すものだと思ってください。私はPOSデータ会社と契約しているので、全国でどんなものが売れているか調査できます。

驚いたのは、男性の育毛剤や養毛剤がしぶとく売れ続けています。女性用も同様傾向です。また、増毛サービスも好調です。不要不急の買い物のように見えますが、これらはなぜ売れているのでしょう。化粧品やシェービングローションは販売数を減らしているというのに! 一般的には、在宅勤務が増えるにしたがって、他人に自分を見せる機会が減ったとされます。だから衣類や装飾品も売れなくなったのだと。

ただ、これは仮説ですが、テレビ会議によって、自分をまじまじと眺める機会が増えたのではないかと思います。そうすると、自分の薄毛や白髪によく気づきます。これは私の実感でもあります。幸運なことに、私はまだ薄毛や脱毛にそれほど悩まされていません。しかし、コロナ禍は面白い需要を喚起しているように見えます。

そこで私が気づいたことがあります。ZoomでもTeamsでもいいのですが顔出しのテレビ会議では、誰もが自分の顔を見ていると気づきました。卒業アルバムを久々に開く際、誰もが自分を真っ先に探す、と聞いたことがあります。通常の会議なら、自分は見られません。しかし、テレビ会議は自分がそこにずっといます。さらに、カメラなどのデバイスによってだいぶ印象が異なります。これから、佇まいとして、ちゃんとしたビジネスパーソンに見せるスキルが重要になるはずです。

さらに深刻なのは、在宅勤務によって、少なからぬ社員が次の傾向をもっているとバレてしまいました。

・とくにやることがない
・資料も出てこない
・時間を持て余している
・アイディアも出さない
・会議で発言もしない
・自分から仕事を創出できない
・管理職もその人に仕事を与えられない

可視化されてしまったのです。私は、提言したいと思います。このタイミングこそ、この10年か20年、検討されながら大企業の一部しか舵を切ってこなかった施策を実現するべきではないでしょうか。

・業務の大胆な外注化(BPO)
・上記に伴う組織のスリム化
・資料作成の徹底的な廃止
・調達オペレーション部隊と調達戦略部隊の分離
・時間ではなく、成果で評価すること
・評価に使う時間の大幅増加
・調達プロセスの徹底的な記録化
・在庫ゼロ思考の見直し
・ゼロリスク信仰の棄却

かつて、ペストの流行が引き篭もりを生み、しかし収束後にルネサンス(人間再生)が生まれました。2020年も、あとから振り返れば、新調達様式誕生、あるいは調達再生の年としたいものです。(坂口孝則)

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