連結対象子会社に調達担当者は甘くすべきか

今回は、珍しく調達・購買業務についての話を書きます。私はよくセミナーでサプライヤ同士の競合について語ります。つまり競争環境あるいは競合環境の整備が必要だ、という話です。そして競争のあと、サプライヤが関連会社であっても、適正な価格査定が必要である、と述べます。

そのときに、よくあるご質問が「子会社は、結局のところ、連結対象になるわけだから、高くてもかまわないのではないか」というものです。それはご質問の形をとっているものの、「子会社は、結局のところ、連結対象になるわけだから、高くてもかまわないはずだ」というご意見に近いのですね。つまり、彼らがたくさんの利益をとっても、どうせ連結決算で一緒になるのだから、良いではないか、というわけです。

これには明確な反論が存在せず、最終的には、グループ全体の経営方針しだいです、としかいえません。すくなくとも教科書的にはグループのトップがどう考えているかに依存します。

ただ、それであっても、注意点が二つ存在します。どうも、こういったご質問者は、関連会社と子会社の違いをあまりご存知ないケースがあります。もっといえば、どのように連結するのかご存知ないケースです。「連結対象であれば、すべての利益が合算する」と考えているようです。それは完全子会社であれば間違いありませんが、単なる関連会社であればすべての利益は合算されません。ここは詳細を述べるのが趣旨でも主旨でもありませんので、割愛します。気になった方は書籍などで調べてください。ただ、関連会社、といっただけで、完全子会社、子会社とごっちゃにして、すべて連結対象であると考えてしまうひとが多いように感じます。

ですので、そのすべてが合算されないケースがあるのは注意が必要です。

話をわかりやすく、完全子会社だとしましょう。その際に、「利益がすべて連結するのであれば、その子会社の利益はいらないはずだ」と考える思考が存在しないのは、私にとって奇妙です。なぜならば、すくなくとも、完全子会社よりも、親会社のほうが利益を効率的に配分し使用できるとするならば、そう考えるべきだと思うのです。

正確には、粗利益(売上総利益)をゼロにせよとはいっていません。販売費及び一般管理費に含まれる人件費相当分等は、あってもかまわないでしょう。ただ、「連結対象だから」といった接頭辞には、「だからこそ子会社は利益ゼロでいい」というフレーズのほうがつながる気がするのです。さらに、最終製品のコスト競争力向上にもつながっていきます。もっといえば、完全子会社ではない、他のサプライヤにたいする危機感の醸成にもつながるでしょう。

ちなみに、私は「だからこそ子会社は利益ゼロでいい」論の問題点も把握しつつ、あえてこう書いています。子会社の存在がコスト査定を妨げている状況と常識に、私はささやかな持論を述べてみました。

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