RPAを売る会社の馬鹿野郎
同業者を批判して申し訳ないのですが、ちょっと怒りたくなりました。いま、猫も杓子もRPAブームです。RPAとは、ロボットによる業務の効率化とでも訳せばいいでしょうか。定型的で判断が明確ならば、各種のソフトを自動化しようとするものです。働き方改革が注目されるなか、できるだけPC業務を効率化して、省人化しようと試みるものといってもいいでしょう。
しかし、このRPA導入のセールストークが酷い。たとえば、RPA導入に1000万円かかったとします。そうするときに、売り口上としては、次のような無意味な数式が登場します。「RPAを導入すると、社員の年間業務量が1万時間減ります。社員には時間あたり5000円のコストがかかるので、1万時間は、5000万円のコスト削減に匹敵します。つまり、ROIは年間で500パーセントです。だから導入しましょう!」というわけです。
ただ、これは管理会計の基礎ですが、社員は固定費であり、5000万円のコスト削減にはなりません。コスト削減どころか、RPAを導入したコストが単に加算されるだけです。さらに1万時間の削減がウソっぽい。RPA習得コストや、あるいは設定時間がかかるはずです。そんなに削減できると考えるのは、ちょっと無理筋です。
私はいつも正直にいって批判を受けるのですが、現在はRPAを導入するコンサルタントが儲かっているだけではないでしょうか。あるいは、RPAを導入する前にコンサルティングを受けることで、組織の業務標準化にお金を費やすだけではないでしょうか。
私はRPAを、できるだけ手軽な形で試行することを勧めています。いきなり大金を払うのではなく、無料のRPAでもいいのでやってみて、組織に合うかをテストすること。現在では多くのツールが存在します。そして、可能性があれば、その段階でやっと本格検討すればいいではないですか。コンサルティング会社にいきなり大金を払うのは馬鹿げています。いや、馬鹿です。
多くの企業では、現場でRPAを展開しようとすると、「これを設定する時間がない」と無能な社員ほど言い訳をします。ほんとうは定型的な仕事がなくなってしまうと、やることがなくなっちゃうだけなんですけどね。RPAうんぬん以前に、なんのために効率化したいかを考えねばなりません。そして、そういう社員が効率化後に何をするかを考えねばなりません。
重要なのは、RPA使うかどうかに限らず、「業務を棚卸しすることと」と「空いた時間でやりたいことがあるか」なのです。手段と目的が逆であってはいけません。
そして、みなさん、RPAを売ろうとするひとたちに気をつけてください。投資対効果ばかりを叫び、本音を話さないひとばかりですから。私はRPAを売る人たちに「ところでおたくは、どれくらいRPAで社員が減ったんですか」と訊くことを失念してはいけないと思います。あるいは「空いた時間でどれだけの付加価値業務に従業しているんですか」でもいいですけれど。
(今回の文章は坂口孝則が担当しました)